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令和元年版 犯罪白書 第6編/第2章/第1節/5
5 矯正・更生保護段階等における被害者等の関与

平成13年3月からは,被害者等通知制度により,被害者等が希望する場合には,懲役,禁錮又は拘留の刑(以下「自由刑」という。)の執行終了予定時期,仮釈放又は自由刑の執行終了による釈放及び釈放年月日等について通知することができるものとされた。19年12月からは,この制度が更に拡充され,被害者等が希望する場合には,有罪裁判確定後の加害者の処遇状況等に関する事項についても,原則として通知が行われている。検察官は,刑事施設からの連絡に基づき,懲役又は禁錮刑の執行終了予定時期,受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項,仮釈放又は刑の執行終了による釈放に関する事項等及び刑の執行猶予の取消しに関する事項等について,地方更生保護委員会は,仮釈放審理の開始・結果に関する事項について,保護観察所の長は,保護観察の開始・処遇状況・終了に関する事項について通知を行っている。

また,平成13年10月から,再被害防止の観点から転居等の措置を講じる必要があるため,被害者等が特に通知を希望する場合で,検察官等が相当と認めるときには,受刑者の釈放予定時期,帰住予定地等についての通知を行う制度も実施されている。

さらに,更生保護においては,平成19年12月から,被害者等通知制度に基づく通知に加え,地方更生保護委員会が,刑事施設からの仮釈放及び少年院からの仮退院の審理において,被害者等から仮釈放・仮退院に関する意見等を聴取する意見等聴取制度,保護観察所が,被害者等から被害に関する心情等を聴取し,保護観察中の加害者に伝達する心情等伝達制度,主に保護観察所が,被害者等からの相談に応じ,関係機関等の紹介等を行う相談・支援の制度が実施されている。

矯正・更生保護段階における被害者等の関与に係る各制度について,制度開始又は資料を入手し得た年以降の実施状況の推移は,6-2-1-6表のとおりである。

6-2-1-6表 矯正・更生保護段階における被害者等の関与に係る制度の実施状況の推移
6-2-1-6表 矯正・更生保護段階における被害者等の関与に係る制度の実施状況の推移
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平成30年7月9日から,保護観察所において,心神喪失者等医療観察法に定める対象行為(第4編第10章第3節1項参照)の被害者等が希望する場合には,被害者等に対し,対象者の処遇段階等に関する情報を提供している。同年末までの情報提供件数は12件であった(法務省保護局の資料による。)。