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令和元年版 犯罪白書 第4編/第10章/第3節/1

1 審判

心神喪失者等医療観察制度の対象となるのは,<1>対象行為(放火,強制わいせつ及び強制性交等,殺人,強盗(これらの未遂を含む。)並びに傷害)を行い,心神喪失又は心神耗弱であることが認められ,不起訴処分となった者,<2>対象行為について,心神喪失を理由に無罪の確定裁判を受けた者,又は,心神耗弱を理由に刑を減軽する旨の確定裁判(懲役又は禁錮の実刑判決であって,執行すべき刑期があるものを除く。)を受けた者である。これらの対象者については,原則として,検察官の申立てにより審判が行われる。その審判は,地方裁判所において裁判官と精神保健審判員(精神科医)の合議体により行われ,心神喪失者等医療観察法に基づく医療の要否・内容が決定される。

審判に当たり,裁判所は,保護観察所の長に対し,対象者の生活環境の調査を求めることができる。保護観察所は,対象者の住居や家族の状況,利用可能な精神保健福祉サービス等の社会資源の現況等,対象者の生活環境について調査を行い,その結果を裁判所に報告している。平成30年における生活環境の調査の開始件数は,293件であった(保護統計年報による。)。

4-10-3-2表は,制度開始となった平成17年以降の検察官申立人員及び審判の終局処理人員の推移を見るとともに,30年については,これらを更に対象行為別に見たものである。検察官申立人員は,おおむね300人台から400人台で推移している。30年における検察官申立人員を対象行為別で見ると,傷害が最も多く,次いで殺人,放火の順であった。また,同年における審判の終局処理人員を見ると,入院決定が240人(74.5%),通院決定が26人(8.1%)であった。

4-10-3-2表 検察官申立人員・地方裁判所の審判の終局処理人員(対象行為別)
4-10-3-2表 検察官申立人員・地方裁判所の審判の終局処理人員(対象行為別)
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