平成13年4月,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号。以下この項において「配偶者暴力防止法」という。)が成立し,一部を除き同年10月に施行された。同法は,配偶者からの暴力に係る通報,相談,保護,自立支援等の体制を整備して,配偶者からの暴力を防止し,被害者を保護するための施策を講ずることにより,人権の擁護と男女平等の実現を図ろうとするもので,配偶者からの暴力を受けている者を発見した者の通報に関する規定や裁判所の保護命令に関する規定等が整備された。
その後,平成16年5月に配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第64号)が成立し(同年12月施行),配偶者からの暴力の定義の拡大や保護命令制度の拡充が図られたほか,内閣総理大臣等は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を,都道府県は,基本方針に即して,当該都道府県における配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画をそれぞれ定めなければならないことなどを内容とする改正がなされた。また,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策をさらに推進するため,19年7月にも,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律(平成19年法律第113号)が成立し(20年1月施行),保護命令制度の更なる拡充や,市町村に対し,当該市町村における配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画の策定を努力義務として課することなどを内容とする改正がなされた。
なお,配偶者暴力防止法は,平成26年1月,その名称が,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に改められている(平成25年法律第72号による改正)。
また,令和元年6月,児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律(令和元年法律第46号)が成立し,被害者保護のために相互に連携・協力すべき関係機関として児童相談所が明記されるなどの配偶者暴力防止法の改正がなされた(2年4月施行)。
同法の罰則等については,本編第1章第2節6項(2)参照。