平成18年3月,執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律(平成18年法律第15号)が成立し,同年9月に施行された。この改正は,保護観察付執行猶予者に対する保護観察の強化を図るため,<1>保護観察付執行猶予者が転居又は7日以上の旅行をするときは,あらかじめ保護観察所の長の許可を受けなければならないものとすること,<2>保護観察所の長が,言渡しをした裁判所の意見を聴き,これに基づいて,保護観察付執行猶予者に係る特別遵守事項を定めるものとすることを内容とした(改正に至る経緯等については,第3編第1章第5節1項コラム9参照)。
平成19年6月,更生保護の基本的な枠組みを定めていた犯罪者予防更生法(昭和24年法律第142号)と執行猶予者保護観察法(昭和29年法律第58号)の内容を整理統合し,新たな一つの法律とした更生保護法(平成19年法律第88号)が成立した。同法は,20年6月に全面施行され,これに伴い,犯罪者予防更生法及び執行猶予者保護観察法は廃止された(改正に至る経緯等については,第3編第1章第5節1項コラム9参照)。
更生保護法は,<1>目的規定において,再犯及び再非行をなくすことを明記し,<2>遵守事項の内容を整理し,充実させるとともに,特別遵守事項の付加・変更を可能とし,<3>生活環境の調整の規定を整備し,<4>被害者等の意見等聴取制度と心情等伝達制度を新設し,<5>保護観察官と保護司の役割についての規定を整備するなどしている。
また,平成25年6月,刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号。以下,この節において「刑法一部改正法」という。)及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(平成25年法律第50号)が成立し,刑法一部改正法により,更生保護法が一部改正された。27年6月,特別遵守事項に社会貢献活動の類型を加える規定が,28年6月,刑の一部執行猶予制度を含むその他の規定が,それぞれ施行された。