明治41年3月に公布され,同年10月に施行された監獄法(明治41年法律第28号)は,施行後約100年間実質的な改正がなされていなかった。そのため,同法の内容・形式共に時代に適合しなくなっている上,関係省令や訓令通達等が多々発出され,法令の体系が複雑で分かりにくくなっていた。
そこで,まず,平成17年成立の刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成17年法律第50号)により,刑事施設及び受刑者の処遇等について定め,次いで,18年成立の刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律(平成18年法律第58号)により,未決拘禁者等の処遇等について定めた。これらの法律により,監獄法が廃止され,新たに刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律が制定された(改正に至った経緯や処遇の推移については,第3編第1章第4節参照)。
平成17年5月,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律が成立し,18年5月に施行された。
同法は,<1>受刑者の権利義務関係や職員の権限を明確にすること,<2>受刑者の改善更生と円滑な社会復帰を図るための処遇を充実させること,<3>受刑者の不服申立ての制度を整備すること,<4>刑事施設の運営の透明性を確保するための仕組みを設けることなどを内容としたものである。
同法の施行に伴い,未決拘禁者の処遇等については,監獄法が実質的にその内容を変えることなく題名だけが改められた刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律によって規律されることとなった。
平成18年6月,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律が成立し,19年6月に施行された。
同法は,<1>留置施設等の設置,留置される者の種類及び留置施設への代替収容に関する事項のほか,留置施設等の管理運営に関する事項を定め,<2>未決拘禁者等の権利及び義務の範囲を明らかにするとともに,その生活及び行動に制限を加える必要がある場合につき,その根拠及び限界を定めることなどを主な内容とする。また,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の題名を刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律に改めるとともに,刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律を廃止した。