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令和元年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/4

4 財政経済関係法令
(1)租税関係

主な租税関係法令には,所得税法(昭和40年法律第33号),法人税法(昭和40年法律第34号),相続税法(昭和25年法律第73号),消費税法(昭和63年法律第108号)がある。これらの法律の罰則としては,いわゆるほ脱行為,申告書等提出義務違反・虚偽記載行為等に対するものが設けられている。

課税の適正化を図り税制に対する信頼を確保する観点から,平成22年法律第6号により,所得税法,法人税法,相続税法,消費税法等が改正され,所得税,法人税,相続税及び消費税のほ脱犯に係る法定刑について,懲役刑の上限が5年から10年に引き上げられるなどの罰則強化が行われた(平成22年6月施行)。

平成23年法律第82号により,所得税法,法人税法,相続税法,消費税法等が改正され,申告書をその提出期限までに提出しないことにより税を免れる行為(いわゆる単純無申告ほ脱犯)を処罰する規定や,不正に消費税の還付を受ける行為の未遂犯を処罰する規定が新設された(平成23年6月施行)。

金の密輸入に対する抑止効果を高めるため,平成30年法律第7号により消費税法が改正され,不正の行為により保税地域から引き取られる課税貨物に対する消費税を免れた者等に対する罰則の強化がなされた(平成30年4月施行)。また,平成30年法律第8号により関税法が改正され,無許可輸出入罪等に対する罰則が強化された(同月施行)。

平成期における税法違反事件の動向については,第4編第4章第1節参照。

(2)経済関係

平成期における経済犯罪の動向については,第4編第4章第2節参照。

ア 商法・会社法

平成17年法律第87号による改正前の商法(明治32年法律第48号)には,「第2編(会社)」の規定中に,特別背任罪,会社財産を危うくする罪,預合いの罪,株主の権利の行使に関する利益供与の罪等が規定されていた。いわゆる総会屋の根絶を図るとともに,株式会社の運営の健全性を確保するため,平成9年法律第107号により,商法が改正され,取締役等による特別背任罪等の法定刑が引き上げられたほか,株主の権利の行使に関する利益供与の罪に関して,利益供与の要求行為等を処罰する規定が新設された(平成9年12月施行)。

平成12年法律第90号による商法改正では,株主の権利の行使に関する利益供与の罪に関して,株主が株式を有する会社自体の計算によるものに加え,新たに,子会社の計算による利益供与も処罰するものとされた(平成13年4月施行)。

平成17年6月,会社法(平成17年法律第86号)が成立し,18年5月に施行された。会社法は,社会経済情勢の変化への対応等の観点から,会社に係る各種の制度の在り方について体系的かつ抜本的な見直しを行い,従来,商法の「第2編(会社)」等の各法律に分かれて置かれていた会社に係る規定を一つの法典として再編成したものである。罰則関係では,特別背任罪等につき国外犯処罰規定を新設し,株主の権利の行使に係る利益供与の罪につき任意的自首減免規定を設けるなどした。

平成26年法律第90号による会社法の改正では,株主等の権利の行使に関する贈収賄罪及び株主の権利の行使に関する利益供与罪について,処罰対象の範囲が拡大された(平成27年5月施行)。

イ 独占禁止法

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下この節において「独占禁止法」という。)には,私的独占の禁止の罪,価格カルテルや入札談合等の不当な取引制限の罪等が規定されている。

平成3年法律第42号による改正では,価格に関係する不当な取引制限等を行った事業者等に対する課徴金の算定率が引き上げられた(平成3年7月施行)。

平成4年法律第107号による改正では,罰則が強化され,事業者による「私的独占」又は「不当な取引制限」等についての両罰規定中,法人等に対する罰金刑の上限の額が,行為者に対する罰金刑の上限の額とは切り離して定められ,1億円に引き上げられた(平成5年1月施行)。

平成9年法律第87号による改正では,持株会社について,全面的に禁止されていたのが,事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の禁止に改められるなどした(平成9年12月施行)。また,平成9年法律第96号により,個別の法律に定められていた独占禁止法適用除外カルテル等制度のうち適用除外を継続する必要性が認められない制度について廃止や範囲の限定等がなされた(同年7月施行)。

平成17年法律第35号による改正では,課徴金制度を見直し(課徴金対象行為の拡大・明確化,課徴金算定率の引上げ),課徴金減免制度,公正取引委員会の調査権限としての犯則調査権限がそれぞれ導入され,一定の罪に係る訴訟の第一審管轄についての東京高等裁判所の専属管轄が改正(東京高等裁判所専属管轄から,土地管轄を有する地方裁判所管轄に変更され,当該地方裁判所に加えて当該地方裁判所を管轄する高等裁判所所在地の地方裁判所及び東京地方裁判所も合わせて管轄を有するとされた。)されるとともに,罰則が改正(公正取引委員会の排除措置命令違反及び調査妨害に関する罪の法定刑の上限の引上げ等)されるなどした(平成18年1月施行)。

ウ 証券取引法・金融商品取引法

金融商品取引法(昭和23年法律第25号。平成19年9月30日前の題名は証券取引法)には,内部者取引(インサイダー取引),相場操縦,風説の流布,虚偽有価証券報告等提出等の罪が規定されている。

平成2年法律第43号による改正では,株券等の大量保有の状況に関する開示制度,いわゆる5パーセント・ルールが導入され,違反に対しては刑事罰が科せられるなどした(平成2年12月全面施行)。

平成3年法律第96号による改正では,証券会社による大口法人顧客等に対する損失補塡により,一般の投資者の証券市場に対する信頼が大きく損なわれるなどしたことを踏まえ,証券会社による損失保証,損失補塡等が禁止されるとともに,顧客がその要求により証券会社の損失保証,損失補塡を受ける行為等が禁止され,それらの違反に対しては,刑事罰を適用することとされた(平成4年1月施行)。

平成4年法律第73号による改正では,独立した監視機構として新たに証券取引等監視委員会が設置され,同委員会に調査・告発権限が付与された上,相場操縦行為や損失補塡行為に代表されるような当該犯罪の社会的影響が重大であることなどの要件を満たす違反行為についての両罰規定中,法人の罰金刑の上限が,行為者に対する罰金刑の上限の額とは切り離して定められ,大幅に引き上げられた(一部を除き平成4年7月施行)。

平成6年法律第70号による改正では,商法の一部改正により自己株式取得規制が緩和されたことに伴って,自己株式取得に関する開示手続,公開買付け手続,内部者取引規制等につき,関連罰則を含む整備が行われた(一部を除き平成6年10月施行)。

平成10年法律第107号による改正では,インサイダー取引に対する規制の適用範囲が拡大されるとともに,相場操縦行為等に対する加重処罰規定及びこれらの行為により得た財産等を原則的に没収・追徴するとの規定が新設された(一部を除き平成10年12月施行)。

平成18年法律第65号による改正では,重要な事項に虚偽記載のある有価証券届出書等の提出,風説の流布・偽計,相場操縦行為,インサイダー取引等に関する罪の法定刑の上限が引き上げられるなどした(平成18年7月施行)。

平成25年法律第45号による改正では,資産運用に関する不正行為の罪の法定刑の引上げ(平成25年7月施行)及びインサイダー取引の処罰対象の範囲の拡大(26年4月施行)が行われた。

平成27年法律第32号では,適格機関投資家等特例業務の届出をせず,又は虚偽の届出をした者等に対する罰則の強化等が行われた(平成28年3月施行)。

平成29年法律第37号による改正では,株式等の高速取引行為を行う者に対する登録制が導入されるとともに,登録をしないで高速取引行為を行った者や自己の名義をもって他人に高速取引行為をさせた者等に係る罰則が新設された(平成30年4月施行)。

エ 破産法

破産事件の件数の増加等を踏まえて,迅速・公正な財産の清算等を図る目的で,平成16年5月に破産法(平成16年法律第75号。以下この節において「新破産法」という。)が成立し,17年1月に施行された(同法により,破産法(大正11年法律第71号。以下この節において「旧破産法」という。)は廃止された。)。新破産法では,旧破産法に規定されていた破産管財人等に係る贈収賄,詐欺破産等についての罰則に加え,破産管財人等の特別背任,破産手続開始時における破産者の重要財産開示義務違反行為,破産手続開始後に手続外で破産債権の回収を図る目的で破産者等に対して面会を強請する行為等について罰則が新設された。

オ 出資法

出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号。いわゆる出資法)は,出資金の受入れ制限,預り金の禁止等に関する規定が設けられ,これらの規定に違反した者や金銭の貸付けを行う者による高金利の契約等を処罰する規定が設けられている。

いわゆるヤミ金融業者(無登録で貸金業を営む業者,登録業者を含め,法律に違反するような高金利で貸付けを行ったり,悪質な取立てを行ったりする業者)が深刻な社会問題となっていたことを受け,ヤミ金融事犯に対処するため,平成15年法律第136号による改正により,上限金利を超える利息の支払の要求についての罰則が新設されるとともに,上限金利違反に関する罪の法定刑の引上げ等が行われた(平成15年9月施行)。

ヤミ金融事犯に対する罰則を強化するため,平成18年法律第115号による改正では,業として行う年109.5%を上回る著しい高金利の貸付けに対し,法定刑の上限を懲役10年とする罰則が新設され(平成19年1月施行),業として行う高金利の貸付けに対する罰則(法定刑の上限は懲役5年)違反となる金利が年29.2%を超える金利から年20%を超える金利に引き下げられた(22年6月施行)。

カ 貸金業法

貸金業法(昭和58年法律第32号)は,貸金業を営む者の業務の適正な運営の確保や資金需要者等の利益の保護を図ることなどを目的とする法律である(平成19年12月19日前の題名は貸金業の規制等に関する法律)。

ヤミ金融事犯に対処するため,平成15年法律第136号による改正では,貸金業者の登録要件の厳格化,無登録業者に対する規制強化等に関する規定が整備されるとともに,無登録営業に関する罪の法定刑の上限を懲役5年に引き上げるなどの措置が講ぜられた(平成16年1月全面施行)。

ヤミ金融事犯に対する罰則を強化するため,平成18年法律第115号による改正では,無登録営業に関する罪の法定刑の上限が懲役10年に引き上げられた(平成19年1月施行)。

キ 入札談合等関与行為防止法

平成14年7月に成立した入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律(平成14年法律第101号。15年1月施行。いわゆる入札談合等関与行為防止法)には,官公需分野の競争促進及び予算執行の適正化を目的として,入札談合等関与行為を排除するための行政上の措置,当該行為をした職員に対する賠償請求・懲戒事由の調査等の規定が盛り込まれたが,罰則は盛り込まれなかった。官製談合事件の発生に関する状況に鑑み,官製談合の防止を図るため,平成18年法律第110号による改正で,法律の題名が「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」から「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」に改められるとともに,国等の職員による入札等の公正を害すべき行為についての罰則が設けられた(19年3月施行)。

ク 不正競争防止法

不正競争防止法(平成5年法律第47号)は,事業者間の公正な競争及びこれに対する国際約束の的確な実施を確保することなどを目的として,不正競争防止法(昭和9年法律第14号。以下この節において「旧不正競争防止法」という。)を全部改正したものとして平成5年5月に成立した(6年5月施行)。同全部改正により,旧不正競争防止法に規定されていた他人の商品表示等と同一又は類似のものを使用して他人の商品等と誤認・混同を生じさせる行為,商品の原産地等につき誤認を生じさせる虚偽表示行為等に対する処罰規定に加え,他人の商品表示と同一又は類似のものを使用して他人の商品等と誤認・混同を生じさせる行為に対する処罰規定につき,それまで不正競争の目的で行われたものであることを要するとされていたのが,一般に不正の利益を得る目的があれば犯罪が成立するものと改められたほか,両罰規定における法人等に対する罰金刑の上限の額が,行為者に対する罰金刑の上限額と切り離されて大幅に引き上げられた。

平成10年法律第111号による改正では,外国公務員等に対して不正な利益を供与する行為等に対する罰則が新設されるとともに,法人に対する罰金刑の上限が更に引き上げられた(平成11年2月施行)。

平成15年法律第46号による改正では,営業秘密の刑事的保護を図るため,他人の営業秘密を不正に取得,使用又は開示した者に対する処罰規定が設けられた(平成16年1月施行)。

平成16年法律第51号による改正では,外国公務員等に対して不正な利益を供与する行為等について,国民の国外犯処罰規定が設けられた(平成17年1月施行)。

平成17年法律第75号による改正では,営業秘密の刑事的な保護の強化及び模倣品・海賊品対策の強化等のため,不正競争の目的で営業秘密を日本国外に持ち出して使用・開示する行為等についての罰則や営業秘密侵害罪に関する両罰規定が設けられ,不正目的で他人の商品の形態を模倣する行為等に対して罰則が設けられるとともに,不正競争防止法違反の罪全般に対する罰則の強化(法定刑の引上げ,懲役刑及び罰金刑の併科)等が行われた(平成17年11月施行)。

平成18年法律第55号による改正では,営業秘密及び模倣品・海賊品対策の刑事罰強化のため,営業秘密侵害罪や商品形態模倣行為罪に対する法定刑が引き上げられるなどした(平成19年1月施行)。

平成21年法律第30号による改正では,営業秘密侵害罪の対象範囲を拡大するため,営業秘密侵害罪の目的要件が変更され,第三者による営業秘密の不正な取得に対する刑事罰の対象範囲が拡大されるなどした(平成22年7月施行)。

平成23年法律第62号による改正では,音楽や映画等をデジタル化してインターネット等を用いて様々な形態で消費者に販売する産業(コンテンツ提供事業)が発展する中,無断視聴や無断コピーを防止するための使用管理・コピー管理のための技術を無効化する装置やプログラムを販売する業者が横行することにより,コンテンツ提供事業者に被害が生じていたことから,このような状況を防ぐため,技術的制限手段を無効化する装置等の提供行為に対する罰則が設けられたほか,営業秘密侵害罪に係る刑事訴訟手続における営業秘密の適切な保護に関する措置(裁判所が<1>被害者等の申出に応じて営業秘密の内容を特定させることとなる事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定(秘匿決定)をすること,<2>秘匿決定をした場合に,当該事項について呼称等の決定をすること,<3>秘匿決定をした場合に,一定の要件が認められるときは,公判期日外に証人尋問等をすることを可能とする規定)が設けられた(平成23年12月施行)。

平成27年法律第54号による改正では,営業秘密侵害について,より実効的な刑事罰による抑止を図ることなどを目的に,営業秘密の転得者に対する処罰規定が整備され,営業秘密侵害罪の未遂犯処罰規定が導入されるとともに,営業秘密侵害罪の罰金刑の上限引上げ,営業秘密侵害罪の非親告罪化等が行われた(平成28年1月施行)。

ケ 特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法等

特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成8年法律第93号。以下この節において「住専法」という。)により,平成8年7月,住宅金融専門会社の債権回収等を目的とする株式会社住宅金融債権管理機構(以下この節において「住管機構」という。)が設立され,また,同年6月の預金保険法(昭和46年法律第34号)の一部改正を受けて,同年9月,株式会社東京共同銀行が改組され,破綻した信用協同組合の整理回収業務(同業務は,10年2月の預金保険法の一部改正により,信用協同組合以外の破綻金融機関に拡大された。)を主たる目的とする株式会社整理回収銀行(以下この節において「整理回収銀行」という。)が発足した。さらに,平成10年法律第133号による預金保険法及び住専法の各改正を受け,11年4月,住管機構が整理回収銀行を吸収合併して,株式会社整理回収機構(以下この節において「整理回収機構」という。)が発足し,整理回収機構は,金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号)により,破綻の前後を問わず,金融機関全般から買い取った不良債権の回収等を行い得るものとされた。破綻金融機関における不良債権の回収等に関連する犯罪に関しては,刑事責任追及を厳格に行うため,住管機構,整理回収銀行,整理回収機構等の役職員に,告発に向けての所要の措置をとる義務が課された。

(3)知的財産関係

平成期における知的財産関連犯罪の動向については,第4編第4章第3節参照。

ア 著作権法

著作権法(昭和45年法律第48号)は,著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め,著作者等の権利の保護を図ることなどを目的としたものである。同法には,著作者人格権,著作権,出版権又は著作隣接権の侵害行為,商業用レコードの複製,同複製物頒布・頒布目的所持等に対する罰則が規定されている。

平成9年法律第86号による改正では,インターネット等を活用した「インタラクティブ送信」の発達に対応する権利(送信可能化権)が創設され,その侵害行為を処罰する行為が処罰の対象とされた(平成10年1月施行)。

平成12年法律第56号による改正では,著作権等の侵害行為等についての両罰規定中,法人等に対する罰金刑の上限の額が行為者に対する罰金刑の上限の額と切り離されて大幅に引き上げられた(平成13年1月施行)。

平成19年5月に成立した映画の盗撮の防止に関する法律(平成19年法律第65号)は,映画館等における映画の盗撮により,映画の複製物が作成され,これが多数流通して映画産業に多大な被害が発生していることに鑑み,有料上映開始後8月を経過しない映画の盗撮について,それが私的使用目的の複製に係るものであっても,著作権法違反(著作権侵害の罪)が成立するとの同法の特例が設けられるなどした(同年8月施行)。

平成24年法律第43号による改正では,違法ダウンロード(私的使用の目的をもって,有償著作物等の著作権等を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を,自らその事実を知りながら行うこと)により,著作権等を侵害した者も処罰対象とされた(平成24年10月施行)。

イ 特許法等

著作権法のほかに,知的財産に関する主な法律として,特許法(昭和34年法律第121号),実用新案法(昭和34年法律第123号),意匠法(昭和34年法律第125号)及び商標法(昭和34年法律第127号)がある。これらの法律には,特許権や商標権等の侵害行為,詐欺により権利の登録等を受ける行為,虚偽表示行為等に対する処罰規定が設けられている。

平成8年法律第68号(平成9年4月施行)により商標法が,平成10年法律第51号(11年1月施行)により特許法,実用新案法及び意匠法がそれぞれ改正され,商標権,特許権,実用新案権及び意匠権等の侵害行為等についての両罰規定中,法人等に対する罰金刑の上限の額が行為者に対する罰金刑の上限の額と切り離されて大幅に引き上げられた。さらに,平成10年法律第51号により,特許権等の侵害行為に係る罪が非親告罪化された(11年1月施行)。

平成18年法律第55号により,特許法,意匠法,実用新案法及び商標法が改正され,特許権,意匠権,実用新案権及び商標権等の侵害に係る罰則について,懲役刑及び罰金刑の上限が引き上げられるとともに,法人等に対する罰金刑の上限が引き上げられた(平成19年1月施行)。