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平成30年版 犯罪白書 第7編/第6章/第2節/3

3 刑事施設における取組

コラム9で示したように,65歳以上の受刑者の約6人に1人に認知症傾向があると推計され,各矯正管区の基幹施設8庁において認知症の早期診断が実施されている。また,高齢出所受刑者のうち,特別調整辞退者の再入率が顕著に高いため,福祉的支援を拒否する者を少なくすべく,全国の刑事施設では,福祉的支援を必要とする者等を対象とする社会復帰支援指導プログラムを実施している。そして,福祉的支援につなげるための社会福祉士等の配置,認知能力・身体能力等の低下した高齢受刑者等を介助するための介護福祉士・介護専門スタッフの配置など支援体制の整備が進められている。さらに,高齢者も含めた女子受刑者に対する窃盗防止指導の実施などの取組も行われている。

こうした高齢受刑者に対する処遇全般を有効かつ適切に継続していくには,それぞれの施策の効果を十分検証し,不断の改善を行う必要があるとともに,地方公共団体や福祉関係機関等の協力を得るためにも,各種施策の必要性等について積極的な広報活動を展開することが重要である。また,多くの刑事施設においては,施設が建てられてから相当の年数が経過し,全所的なバリアフリー化が進められていないなどの課題があるため,施設面の課題の解消にも努める必要がある。