更生保護施設では,刑事施設からの出所時までに受入先が確保されなかった特別調整対象者等,多くの高齢出所者を受け入れ,その後,福祉施設への入所等につなげており,指定更生保護施設では,専門職員の配置等の体制整備が行われ,特別処遇を受けた者は増加傾向にある。更生保護施設帰住者の2年以内再入率は,帰住先不明等の状態で出所した者と比べて低く,その再犯防止効果は非高齢と比べて高齢の出所受刑者でより大きい。
他方で,全国の更生保護施設に対して行ったアンケート調査では,高齢犯罪者の更生保護施設からの退所先の確保や就職の難しさ,認知機能の低下等に苦慮している実情が見られ,受刑中の医療等に関する詳細な情報の提供や,受刑中の認知症等の疾患や身体機能についての精査が一層進むことを望む声が多かった。同調査結果では,指定更生保護施設における社会福祉士等の職員の配置といった体制整備が地方公共団体や医療機関等との地域のネットワーク構築に重要な役割を果たしていることも示されており,指定更生保護施設の更なる整備・拡充が必要である。