7-3-7-1図は,高齢者が被害者となった刑法犯の認知件数の推移(最近10年間)を65〜69歳の者と70歳以上の者とに区分して見たものである(全年齢層の人が被害者となった刑法犯の認知件数については,6-1-1-1図参照)。
高齢者が被害者となった刑法犯の認知件数は,65〜69歳の者,70歳以上の者のいずれも平成20年以降減少傾向にあるが,29年については,全年齢層では,20年と比べると半減したのに対し,65〜69歳の者では3万7,518件(20年比40.1%減),70歳以上の者では6万9,229件(同26.1%減)と,年齢層が高い者ほど減少幅は小さかった。このうち,女性が被害者となった刑法犯の認知件数は,65〜69歳の者,70歳以上の者共に,20年以降減少傾向にあるものの,29年については,全年齢層の女性では,20年と比べると半減したのに対し,65〜69歳の女性では1万1,721件(同43.7%減),70歳以上の女性では3万1,453件(同16.8%減)と,女性でも年齢層が高い者ほど減少幅が小さかった(CD-ROM参照)。
7-3-7-2図は,高齢者が被害者となった刑法犯の認知件数の推移(最近10年間)を,主な罪名別に見たものである。
殺人は,平成20年は300件を超えていたものの,翌21年以降は,一貫して200件台で推移し,29年は278件(20年比11.2%(35件)減)であった。
強盗は,平成22年以降減少傾向を示しており,29年は269件(20年比32.9%(132件)減)であった。
傷害は,平成20年から23年まで1,700件台で推移していたところ,翌24年に2,000件台に,26年には2,200件台に各増加して高止まりとなり,29年は2,161件(20年比25.4%増)であった。
暴行は,平成20年から22年まで1,700件台で推移していたところ,翌23年に2,000件台に,27年には2,700件台に各増加して高止まりとなり,29年は,2,785件(20年比59.8%増)であった。
窃盗は,平成20年以降減少し続け,29年は6万7,899件(20年比41.3%減)であった。
詐欺は,平成20年に1万2,000件台であったものが,翌21年に6,000件台と半減したものの,翌22年から増加傾向にあり,29年は,1万4,854件(20年比22.4%増)であった。なお,29年において,人が被害者となった刑法犯の認知件数のうち,高齢者が被害者となったものの認知件数が刑法犯総数に占める割合は14.8%にとどまるものの,詐欺に占める割合は,45.2%と高い(第6編第1章第1節参照)。