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平成30年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節

第3節 被疑事件の処理

検察官が行う起訴処分には,公判請求と略式命令請求があり,不起訴処分には,<1>訴訟条件(親告罪の告訴等)を欠くことを理由とするもの,<2>事件が罪にならないことを理由とするもの(心神喪失を含む。),<3>犯罪の嫌疑がないこと(嫌疑なし)又は十分でないこと(嫌疑不十分)を理由とするもののほか,<4>犯罪の嫌疑が認められる場合でも,犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないこと(起訴猶予)を理由とするものなどがある。

検察庁終局処理人員総数(過失運転致死傷等及び道交違反を含む。以下この節において同じ。)について,処理区分別構成比及び公判請求人員・公判請求率の推移(最近10年間)を見ると,2-2-3-1図のとおりである。平成29年における検察庁終局処理人員総数は,106万3,320人(前年比6万1,186人(5.4%)減)であり,その内訳は,公判請求8万3,988人,略式命令請求24万5,529人,起訴猶予60万6,256人,その他の不起訴6万5,438人,家庭裁判所送致6万2,109人であった。公判請求人員は,17年から減少傾向にあり,29年は前年より3,747人(4.3%)減少した(CD-ROM参照。罪名別の検察庁終局処理人員については,CD-ROM資料2-3参照)。

2-2-3-1図 検察庁終局処理人員総数の処理区分別構成比・公判請求人員等の推移
2-2-3-1図 検察庁終局処理人員総数の処理区分別構成比・公判請求人員等の推移
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起訴,起訴猶予及びその他の不起訴の人員並びに起訴率の推移(最近10年間)を,刑法犯,道交違反を除く特別法犯に分けて見ると,2-2-3-2図のとおりである。なお,平成29年における検察庁終局処理人員総数の起訴率は32.9%であった(CD-ROM資料2-2参照)。

2-2-3-2図 起訴・不起訴人員等の推移
2-2-3-2図 起訴・不起訴人員等の推移
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平成29年における不起訴処分を受けた者(過失運転致死傷等及び道交違反を除く。)の理由別人員は,2-2-3-3表のとおりである。起訴猶予により不起訴処分とされた者の比率は,20年と比較して4.4pt上昇したのに対し,嫌疑不十分(嫌疑なしを含む。)により不起訴処分とされた者の比率は,3.1pt低下した(CD-ROM参照)。

2-2-3-3表 不起訴人員(理由別)
2-2-3-3表 不起訴人員(理由別)
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検察庁終局処理人員総数,刑法犯,道交違反を除く特別法犯の起訴猶予率の推移(最近20年間)を見ると,2-2-3-4図のとおりである(過失運転致死傷等及び道交違反の起訴猶予率の推移については,4-1-2-2図CD-ROM参照)。起訴猶予率は,総数,刑法犯,道交違反を除く特別法犯のいずれも,おおむね上昇傾向にあるが,刑法犯及び道交違反を除く特別法犯は,総数と比べると一貫して低い。平成29年における総数の起訴猶予率は64.8%であった。なお,年齢層別の起訴猶予率の推移については,7-3-2-9図参照。

2-2-3-4図 起訴猶予率の推移
2-2-3-4図 起訴猶予率の推移
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