この節でいう「強盗」とは,UN-CTSの調査票における「Robbery」をいう。
UN-CTSの調査票では,「Robbery」について,有形力の行使又は有形力を行使することの脅しを用いて抵抗を抑えることによって人から財物を盗取する行為と定義されている。また,統計上可能な場合は,「Mugging(Bag-Snatching)」(ひったくり)及び暴力を伴う「Theft」(本章第3節参照)を含むが,「Pick Pocketing」(すり)及び「Extortion」(恐喝)を除くこととされている。
我が国における「強盗」の発生件数としては,警察において認知した,強盗(刑法236条),強盗予備(同法237条),事後強盗(同法238条),昏酔強盗(同法239条),強盗致死傷(同法240条。なお,強盗殺人を含む。),強盗強姦及び同致死(同法241条)の認知件数が計上されている(強盗予備を除き,いずれも未遂を含む。)。また,我が国において窃盗の手口の一つとして集計されている「ひったくり」の数値については,「強盗」ではなく,「その他の窃盗」(次節参照)として計上されている。
各国における「強盗」の発生件数及び発生率の推移(平成26年(2014年)までの最近5年間)を見ると,1-3-2-1表のとおりである。
各国における2014年の発生件数を2010年の発生件数と比べると,米国において12.5%減,英国において34.3%減,フランスにおいて5.7%減,ドイツにおいて5.6%減,我が国において24.6%減と,いずれの国においても減少している。