本章1項で指摘したとおり,2年以内,5年以内及び10年以内再入率について,最近10年間における推移を見ると,いずれも長期的には低下傾向にある(5-1-3-15図参照)。また,2年以内再入率について,平成24年7月に策定された総合対策との関係で見ると,27年末時点での再入率は,基準値(20%)から1.5pt低下している。さらに,属性別等による再入率の傾向の違いを検討するため,2年以内再入率の推移について詳しく見ると,男性では近年緩やかに低下している一方で,女性では上昇傾向にあること(5-1-3-16図<1>参照),年齢層別では,65歳以上の高齢者層は,他の年齢層と比べて一貫して高いものの,大きく低下してきており,他の年齢層の値に近付いていること(5-1-3-16図<3>参照),罪名別では,窃盗,詐欺,傷害・暴行が低下傾向にある中で,覚せい剤取締法違反は20%前後で推移しており,低下傾向にあるとは未だ言えないこと(5-1-3-17図参照)が特徴である。
総じて再入率が低下傾向にあることから,再犯防止に向けた各種の取組が一定の効果を上げていることがうかがえるが,2年以内再入率が上昇傾向にある女性,一貫して高い再入率を示し続けている覚せい剤取締法違反,低下傾向にあるものの依然として再入率の高い窃盗と高齢者層について,的を絞った対策を講じることが今後の再犯防止策の充実につながるものと考えられる。