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平成27年版 犯罪白書 第6編/第4章/第4節/4

4 処遇プログラムの受講と再犯状況

出所受刑者について,法務省矯正局から提供を受けた刑事施設における性犯罪再犯防止指導(本編第3章第1節1項参照)の実施結果と法務省保護局から提供を受けた保護観察所における性犯罪者処遇プログラムのうちのコア・プログラム(同章第2節2項(1)参照)の実施結果を基に,処遇プログラムの受講の有無及び再犯状況について分析した。分析に際しては,全対象者のうち,調査対象事件の裁判確定から5年が経過した時点において服役中の者,服役中に死亡した者,本来処遇プログラムの受講対象にはなり得ない者等を除外した。その上で,処遇プログラムの受講の有無及び出所事由に着目し,三つの群,すなわち,<1>刑事施設における性犯罪再犯防止指導及び保護観察所における性犯罪者処遇プログラム(コア・プログラム)の双方を受講した者(以下この節において「双方受講群(仮釈放者)」という。)と,<2>刑事施設及び保護観察所のいずれにおいても性犯罪者を対象とした処遇プログラムを受講していない者のうち,出所事由が仮釈放であった者(以下この節において「双方非受講群(仮釈放者)」という。),<3>刑事施設及び保護観察所のいずれにおいても性犯罪者を対象とした処遇プログラムを受講していない者のうち,出所事由が満期釈放であった者(以下この節において「双方非受講群(満期釈放者)」という。)を設定し,その3群について再犯率を比較した。なお,保護観察所における性犯罪者処遇プログラムは,「性犯罪等対象者」の類型に認定された仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の男子に対して実施するもの(同章第2節2項(1)参照)であるため,双方受講群は仮釈放者のみとなっている。出所受刑者のうち,双方受講群(仮釈放者)は120人,双方非受講群(仮釈放者)は64人,双方非受講群(満期釈放者)は247人であった。刑事施設からの出所日を起算点として最長3年の範囲で再犯の有無を調べたほか,再犯がある場合には,出所日から再犯日,再犯がない場合には,出所日から調査の終了時点までの日数を対象者ごとに計上した。

前記の三つの群別に全再犯の再犯状況を見ると,6-4-4-10図のとおりである。図中の表の数字は,各経過期間までの再犯者の累積人員を示しており,例えば,双方非受講群(満期釈放者)では,総数247人のうち,90日経過時点までに33人,720日経過時点までに74人,1,095日経過時点までに82人が,いずれかの罪名の再犯に及んでいることが分かる。調査の終了時点において,双方受講群(仮釈放者)においては120人中10人,双方非受講群(仮釈放者)においては64人中12人,双方非受講群(満期釈放者)においては247人中82人が全再犯に及んでいた。

6-4-4-10図 処遇プログラム受講群別 再犯状況(全再犯)
6-4-4-10図 処遇プログラム受講群別 再犯状況(全再犯)
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同様に,三つの群別に性犯罪の再犯状況を見ると,6-4-4-11図のとおりである。調査の終了時点において,双方受講群(仮釈放者)においては120人中6人,双方非受講群(仮釈放者)においては64人中10人,双方非受講群(満期釈放者)においては247人中53人が性犯罪再犯に及んでいた。

6-4-4-11図 処遇プログラム受講群別 再犯状況(性犯罪再犯)
6-4-4-11図 処遇プログラム受講群別 再犯状況(性犯罪再犯)
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なお,刑事施設における性犯罪再犯防止指導は,性犯罪者調査等を通じて性犯罪の再犯リスクが高いとされる受刑者を特定し,受講の優先度の高い者に実施されるよう配意されているものの,受講する受刑者の選定に当たっては,刑期の長短等様々な要因の影響を受けざるを得ない事情がある(本編第3章第1節1項(1)参照)。また,保護観察所における性犯罪者処遇プログラム(コア・プログラム)も,実施対象者の選定に当たっては,保護観察期間の長短等様々な要因の影響を受けざるを得ない事情がある(本編第3章第2節2項(1)参照)。したがって,双方受講群(仮釈放者),双方非受講群(仮釈放者)及び双方非受講群(満期釈放者)の各群に属する個々の対象者には,処遇プログラム受講の有無以外にも再犯と関連する要因においてそもそもの差異がある可能性を排除できない点に留意する必要がある。