主な特別法犯の検察庁新規受理人員の推移(最近10年間)は,1-2-2-1図のとおりである。なお,交通犯罪については本編第3章第1節,財政経済犯罪については同章第2節,薬物犯罪については第4編第4章をそれぞれ参照。
廃棄物処理法違反の受理人員は,平成19年をピークに減少し続けており,風営適正化法違反の受理人員も,同年をピークに減少傾向にある。児童買春・児童ポルノ禁止法違反の受理人員は,21年からは増加傾向にある。配偶者暴力防止法違反の受理人員は,24年に前年よりほぼ倍増し,同年以降は120人前後で推移している。
なお,平成25年7月,配偶者暴力防止法が改正され(平成25年法律第72号。26年1月3日施行),生活の本拠を共にする交際相手(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいない者を除く。)による暴力及びその被害者についても,同法の規定が準用され,当該暴力に係る保護命令に違反した者も処罰対象となった。
また,平成26年6月,児童買春・児童ポルノ禁止法が改正され(平成26年法律第79号),児童ポルノをみだりに所持することなどが一般的に禁止されたほか,児童ポルノの製造の罪について盗撮による場合も処罰対象になるとともに(同年7月15日施行),自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等も処罰対象となった(27年7月15日適用開始)。
平成26年11月には,いわゆるリベンジポルノ等の私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰することなどを内容とする私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(平成26年法律第126号)が成立し,第三者が撮影対象者を特定することができる方法で私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供する行為等に対する罰則が設けられた(同年12月17日施行)。
ストーカー規制法違反の検察庁新規受理人員の推移(最近10年間)は,1-2-2-2図のとおりである。その人員は,平成24年から著しく増加し,26年は23年の約3.2倍であった。
なお,平成25年7月,ストーカー規制法が改正され(平成25年法律第73号),拒まれたにもかかわらず,電子メールを連続して送信する行為が同法の規定する「つきまとい等」に追加され,同一の者に対して当該行為を反復して行った場合には「ストーカー行為」として処罰対象となった(同月23日施行)。
警察署長等は,つきまとい等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において,当該申出に係るつきまとい等をして相手方に不安を覚えさせる行為があり,かつ,更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができる。また,公安委員会は,警告を受けた者が当該警告に従わずに当該警告に係るつきまとい等をして相手方に不安を覚えさせる行為をした場合において,更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは,警告を求める旨の申出をした者の申出により,又は職権で,当該行為をした者に対し,更に反復して当該行為をしてはならないことや更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。これらのストーカー規制法による警告等の件数の推移(最近10年間)は,1-2-2-3表のとおりである。警告及び禁止命令等の件数は,平成24年から著しく増加している。
ストーカー事案の検挙件数の推移(最近10年間)は,1-2-2-4表のとおりである。ストーカー規制法違反では,ストーカー行為罪の検挙件数が平成24年から著しく増加しており,26年は23年の約3倍であった。他法令による検挙件数の総数も,24年から著しく増加し,26年は23年の約2.4倍であった。
公職選挙法(昭和25年法律第100号)違反の検察庁新規受理人員は,平成26年は191人(前年比57.0%減)であった(CD-ROM資料1-4参照)。
平成26年に実施された各種選挙についての選挙違反事件(27年3月14日までに送致されたものを含む。)の送致人員(215人)を違反態様別に見ると,「買収,利害誘導」が142人(66.0%)と最も多く,次いで,「選挙の自由妨害」23人(10.7%),「詐偽登録,虚偽宣言等,詐偽投票,投票の偽造・増減,代理投票における記載義務違反」17人(7.9%),「投票の秘密侵害,投票干渉」12人(5.6%),「寄附に関する制限違反」6人(2.8%)の順であった(警察庁の統計による。)。
なお,平成25年4月,公職選挙法が改正され(平成25年法律第10号。同年5月26日施行),インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁に伴い,虚偽の氏名等を表示してインターネット等を利用する方法により通信した者も氏名等の虚偽表示罪の処罰対象となった。また,27年6月,公職選挙法等の一部を改正する法律(平成27年法律第43号)が成立し,選挙権を有する者の年齢が満20歳以上から満18歳以上に改められるとともに,選挙犯罪等について,18歳以上20歳未満の者が犯した連座制に係る事件については,その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合には,家庭裁判所は,原則として,検察官への送致の決定をしなければならないこととするなどの少年法の特例等が設けられた。