前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

平成26年版 犯罪白書 第6編/第2章/第2節

第2節 窃盗事犯の増減要因の考察

窃盗の認知件数は,例年,刑法犯の認知件数の過半数を,一般刑法犯の認知件数の7割以上を,それぞれ占めており,窃盗事犯の増減は我が国の犯罪情勢に大きな影響を与えているといっても過言ではない。また,窃盗は,検挙の段階においても,例年,一般刑法犯の中で最も高い割合を占めており,犯罪者処遇の各段階における窃盗事犯者の占める割合が極めて高いことを考慮すると,窃盗事犯の増減の要因について,窃盗事犯者の属性を踏まえて分析することは,今後の犯罪者処遇や再犯防止の在り方を検討する上でも極めて重要と考えられる。

他方,平成14年までをピークとする犯罪情勢の悪化の要因については,これまでの犯罪白書等においても,その分析が試みられてきたところであるが,従前,犯罪対策閣僚会議等においても指摘されているように,いわゆるバブル経済崩壊後の長引く経済不況のほか,社会における規範意識の低下や地域社会における連帯機能の低下等といった社会環境の変化,家族的結合の希薄化や教育機能の低下等といった様々な事情が複雑に絡み合っているものと考えられる。そのため,窃盗事犯の増減の要因を一概に論ずることは困難であるが,以下では,窃盗事犯者の属性や手口ごとの特性を踏まえながら,最近20年間における窃盗事犯の増減の背景事情について検討する。