7-4-3-6図は,保護処分歴又は刑事処分歴を有する者について,直近の各処分に対する意識と処分後の態度に対する回答状況を,非行少年・若年犯罪者別,処分歴別に見たものである。まず,処分の重さについての意識(7-4-3-6図<1>)では,非行少年及び若年犯罪者の双方で,処分を「重い」と受け止める者は,施設内処遇に付された者で多いが(非行少年で少年院送致に対し63.4%,若年犯罪者で少年院送致に対し51.8%,若年犯罪者で実刑に対し44.6%),若年犯罪者では,非行少年に比べ,少年院送致の処分を重く受け止める者の割合が低くなっている。一方,社会内処遇では,処分を「軽い」と受け止める者の割合が比較的高い(非行少年で保護観察に対し16.9%,若年犯罪者で保護観察(少年時)に対し23.7%,若年犯罪者で罰金に対し14.5%,若年犯罪者で執行猶予に対し13.9%)が,ここでも少年時の保護観察処分を「軽い」と受け止める者の割合が若年犯罪者で高い傾向が認められる。
次に,処分後の態度(7-4-3-6図<2>)を見ると,非行少年では,少年院送致を受けた者の約6割(60.6%)が「まじめに生活し,立ち直ろうと努力した」と回答しており,その割合は,若年犯罪者の施設内処遇に付された者を見ても大きな差はない(若年犯罪者で少年院送致に対し65.2%,実刑に対し64.3%)。一方,処分を受けた後に「あまりまじめに生活していなかった」を選択する者は,非行少年の少年院送致を受けた者では5%に満たないが(4.2%),若年犯罪者では少年院送致に対し10.7%,実刑に対し14.3%の者が同項目を選択しており,施設内処遇を経ても更生意欲が低かったと見られる者の割合が高くなる傾向が認められる。社会内処遇についても傾向は同様であり,非行少年では,直近に保護観察を受けた後,「まじめに生活し,立ち直ろうと努力した」者が半数を超える(53.5%)のに対し,若年犯罪者では,少年時の保護観察処分について,同様の選択をする者は34.3%と低く,「あまりまじめに生活していなかった」を選択する者の割合が高くなっている(非行少年で保護観察に対し5.0%,若年犯罪者で同処分に対し19.3%)。また,罰金や執行猶予については,他の処分に比べ,あまり真摯に改善更生の態度を示さなかった者の割合が高い。なお,処分の重さの認識と処分後の態度に関しては,非行少年で,「あまりまじめに生活していなかった」とする者の割合は,処分が「軽い」と受け止めた者,「適当」と受け止めた者,「重い」と受け止めた者の順で高かった。また,非行少年・若年犯罪者に限らず,処分歴が1回の者では,「あまりまじめに生活していなかった」とする者の割合が,処分を「軽い」とする者で,「重い」とする者よりも高かった。
総じて,非行少年の方がおおむね保護処分を真摯に受け止め,更生への努力も示す傾向が見られ,処分のもたらす内的意識への影響も大きいことが推察されるが,保護処分歴がある若年犯罪者では,処分を軽視し,又は処分後の態度が不適切であった者が比較的多い。