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4 処分を受けて役に立ったことに関する認識

7-4-3-7図は,調査対象者のうち,保護処分歴(児童自立支援施設等送致歴のみを有する者を除く。)又は刑事処分歴のある者に対して,「あなたが処分を受けて役に立ったことは何ですか。」という質問に対する回答状況(複数回答)を,非行少年・若年犯罪者の別,処分歴別に見たものである。


7-4-3-7図 処分を受けて役に立ったこと(非行少年・若年犯罪者別・処分歴別)
7-4-3-7図 処分を受けて役に立ったこと(非行少年・若年犯罪者別・処分歴別)

まず,調査対象者全体の状況(7-4-3-7図<1>)を見ると,非行少年では,多い順に「まじめになろうという気持ちが高まる」(76.2%),「社会のルールや責任を考える」(75.8%),「被害者や被害のことを考える」(71.0%),「処分の厳しさを知る」(68.7%),「家族の大切さが分かる」(63.5%),「学業や仕事の大切さが分かる」(63.1%)などについて,処分が役に立ったと認識されている。7-4-3-7図<2>は,非行少年について,保護処分歴別に回答状況を見たものである。少年院送致歴のある者では,多い順に「社会のルールや責任を考える」(86.1%),「被害者や被害のことを考える」(83.3%),「処分の厳しさを知る」(80.6%),「まじめになろうという気持ちが高まる」(80.6%),「他人の気持ちを考えて行動できる」(79.2%)などについて,保護観察歴のある者では,「まじめになろうという気持ちが高まる」(74.4%),「社会のルールや責任を考える」(71.7%),「被害者や被害のことを考える」(66.1%),「処分の厳しさを知る」(63.9%),「家族の大切さが分かる」(60.6%)などについて,処分が役立ったと認識されている。

一方,若年犯罪者では(7-4-3-7図<1>),多い順に「処分の厳しさを知る」(64.4%),「まじめになろうという気持ちが高まる」(63.7%),「家族の大切さが分かる」(56.2%),「社会のルールや責任を考える」(56.2%),「被害者や被害のことを考える」(53.9%)などについて,処分が役立ったと認識されている。次に若年犯罪者の処分歴別回答を見ると(7-4-3-7図<3>),保護処分歴のある者では,保護観察歴の者及び少年院送致歴の者の双方で,各選択肢について「役に立った」とする者の割合が,同じ保護処分歴のある非行少年と比べて,全般的に低くなっており,保護処分を受けた後に更に犯罪に及んで刑務所入所に至った者では,保護処分を通じた指導が内面に浸透しておらず,その効果が定着していなかった者が多いと考えられる。一方,刑事処分歴のうち,罰金歴を有する者では,「まじめになろうという気持ちが高まる」(63.6%),「処分の厳しさを知る」(54.5%)が比較的多く選択されている以外は選択率が低く,処分があまり影響を与えていないことがうかがえる。執行猶予歴のある者においては,「処分の厳しさを知る」(66.0%),「まじめになろうという気持ちが高まる」(65.0%),「家族の大切さが分かる」(59.2%),「社会のルールや責任を考える」(57.3%),「学業や仕事の大切さが分かる」(51.9%)などが選択され,実刑歴のある者では,「処分の厳しさを知る」(68.9%),「被害者や被害のことを考える」(63.9%),「学業や仕事の大切さが分かる」(62.3%),「まじめになろうという気持ちが高まる」(62.3%),「我慢強さや辛抱強さが向上する」(54.1%)などが選択されている。

なお,児童自立支援施設等送致歴を有する者(他の処分歴を有する者に限る。非行少年9人,若年犯罪者22人)では,処分を通じて役立ったこととして「学業や仕事に関する知識や技能が高まる」を選択する者が,非行少年(77.8%,同歴なしの者では38.3%)・若年犯罪者(68.2%,同22.7%)共に顕著に多く,彼らにとって処分が就学・就労面の知識や技能を高める契機になっていることがうかがえる。また,若年犯罪者においては,「健康や体力が向上する」を選択する者が多く(72.7%,同33.6%),処分が生活態度の乱れを修正する機会にもなっているようである。

総じて,調査対象者の半数以上は,処分を通じて更生意欲を高め,社会のルールや被害者に対する意識も高め,家庭,学業,仕事の大切さを自覚するなど意識の変化が現れていたが,非行少年において若年犯罪者よりも処分が役に立ったとする選択率が高い。また,非行少年と若年犯罪者の双方において,学業・就労面の知識・技能について,若年犯罪者において,生活管理,感情統制及び交友関係面について,役に立ったとする回答が少なく,これらに関する処遇の更なる充実が求められていると考えられる。