7-4-2-7図は,就労に対する意識を見たものである。
非行少年では,学校卒業後の就職や自立について,約8割を超える者(81.8%)が「早く就職して,自立すべきだ」との態度を示している(「第8回世界青年意識調査」では類似の質問「子どもは親から経済的に早く独立すべきだ」に対する肯定的な回答は88.6%)。また,「仕事について夢や目標を持っている」(83.1%),「努力すれば,地位や収入は得られる」(89.6%),「資格や免許は苦労しても取りたい」(92.7%)にも高い割合で肯定的な反応が見られる。総じて,非行少年で,就労を通じた社会的自立については前向きの意欲を持つ者が多いといえる。ただし,「楽に稼げる仕事がしたい」という安直な志向を示す者(37.6%)が約4割に及び,「職場の人間関係は面倒くさい」と感じる者(29.8%)も3割程度存在する。
若年犯罪者では,全般的には非行少年と同様に就労に前向きな姿勢が見られ,不安定な雇用を脱却しようとする態度(「フリーターや派遣社員は続けるべきではない」(65.8%))を持つ者の割合が非行少年(58.4%)より高いが,その一方で,「楽に稼げる仕事がしたい」(48.2%),「職場の人間関係は面倒くさい」(40.3%)に肯定的な回答を示した者の割合が非行少年よりも高く,仕事に対する意欲や対人関係に問題を抱える者も少なくないことがうかがえる。
非行・犯行時に無職であった者においては,「職場の人間関係が面倒くさい」に肯定的な回答を示す者の割合(非行少年41.8%,若年犯罪者49.0%,)が,有職であった者(非行少年24.3%,若年犯罪者30.4%)に比べて際立って高くなっており,無職者では対人関係面に問題を抱える者が多いことが推察される。