7-4-2-2図は,規範意識や社会的態度に関連する質問項目に対する回答の経年比較(非行少年)及び非行少年・若年犯罪者別,保護処分歴別の回答状況を示したものである。
非行少年では,暴力肯定的意識に関する「場合によっては腕力に訴えてもよい」に「賛成」と回答した者の割合(「賛成」及び「やや賛成」を合算した構成比。以下本節で同じ。)は低下傾向を示しているが,なお4割程度の者が肯定的態度を示している。また,自分の欲求充足を優先させる態度に関する「自分のしたいことをする方がよい」に「賛成」とする者の割合はおおむね3割,同調的・迎合的態度に関する「人に従っていた方が気楽でよい」に「賛成」とする者の割合はおおむね2割の水準で推移している。なお,児童自立支援施設等送致歴を有する者について見ると,「自分のしたいことをする方がよい」に「賛成」とする者の割合は25.0%と全体より約8pt低く,「反対」と回答した者の割合(「反対」及び「やや反対」を合算した構成比。)は58.3%(同送致歴なしの者では32.8%)と,自己抑制的な態度を示す者が多く見られる。
非行少年を保護処分歴別に見ると,少年院送致歴のある者は,いずれの質問においても,「賛成」とする者の割合が非行少年全体より低い。少年院の矯正教育を通じて社会規範や望ましいとされる価値観を理解するようになっている可能性が推察される。
若年犯罪者の各質問に対する構成比は,非行少年とほぼ同様な分布傾向を示しているが,非行少年と異なり,保護処分歴別による差は小さい。なお,若年犯罪者のうち,暴力肯定的意識に関する「場合によっては腕力に訴えてもよい」に「賛成」とする者の割合は,25歳以上で32.6%であるのに対し,25歳未満で48.4%と約半数に及んでおり,25歳未満の者で暴力肯定的意識が特に強い傾向にあることが認められる。