7-4-2-1図は,自己意識に関する主な質問項目に対する回答の経年比較(非行少年)及び非行少年・若年犯罪者別,保護処分歴別の回答状況を示したものである。
まず,非行少年についてその経年変化を見ると,充実感や努力の傾注に関する「ものごとに打ち込んでいるという感じ」が「ある」と回答した者の割合(「よくある」及び「ときどきある」を合算した構成比。以下本節で同じ。)は,平成17年まで上昇傾向を示していたが,今回(59.8%)は前回より約10pt低下した。一方,否定的な自己イメージに関する「悪く思われているという感じ」(今回52.8%)及び疎外感に関する「心のあたたまる思いが少ないという感じ」(同37.0%)が「ある」と回答した者の割合は,いずれも低下傾向を示している。したがって,非行少年を全体として見ると,自己意識はおおむね否定的な面が小さくなっていることがうかがえるが,生活上の充実感が得られていないと推察される者がなお4割程度存在している。
次に,非行少年を保護処分歴の有無別に見ると,少年院送致歴のある者は,「ものごとに打ち込んでいるという感じ」が「ある」と回答した者の割合が,非行少年全体より約10pt高い反面,「悪く思われているという感じ」や「心のあたたまる思いが少ないという感じ」が「ある」と回答した者の割合も全体より約5pt高くなっている。
一方,若年犯罪者では,「ものごとに打ち込んでいるという感じ」が「ある」と回答した者の割合(65.0%)は,非行少年より約5pt高いが,若年犯罪者を年齢層別で見ると,25歳未満では58.4%,25歳以上では71.8%と,年齢層によって差が大きく,25歳未満の者の方がその割合が低い。また,若年犯罪者は,非行少年同様,半数近くの者(47.4%)が周囲から「悪く思われているという感じ」が「ある」と回答している。さらに,疎外感に関する「心のあたたまる思いが少ないという感じ」は,半数以上の者(51.8%と非行少年より約15pt高い。)が「ある」と回答しており,若年犯罪者では非行少年に比べて疎外感が比較的大きいことがうかがえる。