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第4節 保護観察
1 少年・若年保護観察対象者の動向
(1)保護観察開始人員

7-2-4-1図は,平成22年における保護観察処分少年(以下,家庭裁判所の決定により保護観察に付された者をいう。),少年院仮退院者(以下,少年院を仮退院した者をいう。),若年保護観察付執行猶予者(以下,30歳未満の保護観察付執行猶予者をいう。),若年仮釈放者(以下,30歳未満の仮釈放者をいう。)のそれぞれについて,保護観察に付された日の年齢ごとに保護観察開始人員を見たものである。保護観察処分少年(交通短期保護観察の対象者を除く。以下この節及び次節において同じ。)では17歳が3,301人(20.6%),少年院仮退院者では18歳が787人(20.3%)と最も多い。


7-2-4-1図 保護観察開始人員(種類別・年齢別)
7-2-4-1図 保護観察開始人員(種類別・年齢別)

保護観察付執行猶予者で見ると,20歳代前半の人員が多く,全年齢層の21.0%を占めている。入所受刑者の年齢別人員の構成が40歳頃をピークとし,20歳前後の人員が少ない(7-2-3-1図<2>参照)のと対照的に,保護観察付執行猶予者の開始人員の年齢別構成は,21歳頃をピークとして年齢が増すにつれ減少している。若年者の執行猶予率は全年齢層に比べて高い(7-2-2-8表参照)が,特に,成人になって間もなくの間は,入所受刑者に対する保護観察付執行猶予者の比率が,他の年齢と比べて高い。

また,仮釈放者については,20歳代半ばから人員が多くなり,40歳代後半から徐々に少なくなっている。なお,再入者よりも初入者の比率が高い若年出所受刑者の仮釈放率は64.7%と,出所受刑者全体(49.1%)に比べて高い。

(2)年齢層の推移

7-2-4-2図は,保護観察開始人員について,年齢層別構成比の推移(平成元年以降)を見たものである。保護観察処分少年では,「15歳以下」の占める比率が,平成元年(12.1%)から22年(24.8%)の間に2倍以上となる一方で,「18歳以上」の占める比率が減少し,低年齢化の傾向にある。少年院仮退院者(少年院入院者のほとんどが仮退院により出院する。第3編第1章第4節3項(1))では,「18歳以上」の比率が57%から66%と高い水準で推移している。


7-2-4-2図 保護観察開始人員 年齢層別構成比の推移(種類別)
7-2-4-2図 保護観察開始人員 年齢層別構成比の推移(種類別)

保護観察付執行猶予者及び仮釈放者では,社会の高齢化により,30歳未満の比率はいずれも低下傾向にあるが,保護観察付執行猶予者においては,22年においても,30歳未満の割合が最も高い。