仮釈放の目的は,「改悛の状」があり,改善更生が期待できる懲役又は禁錮の受刑者を刑期満了前に釈放し,仮釈放の期間(残刑期間)が満了するまで保護観察に付することにより,円滑な社会復帰を促進することにある。
仮釈放は,懲役又は禁錮に係る受刑者について,有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年の法定期間を経過した後,許すことができる(少年法による特例については,第3編第2章第1節3項参照)。また,仮釈放は,「改悛の状」があるときに許されるのであるが,具体的には,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再犯に及ぶおそれがなく,かつ,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められ,社会の感情もこれを是認すると認められるときに許される。なお,平成19年12月1日から,仮釈放審理において,被害者等から意見等を聴取する制度が施行されている(第5編第2章第1節6項参照)。
受刑者の帰住予定地を管轄する保護観察所では,刑事施設から受刑者の身上調査書の送付を受けた後,保護観察官又は保護司が引受人と面接するなどして,帰住予定地の状況を確かめ,住居,就労先等の生活環境を整えて改善更生に適した環境作りを働き掛ける生活環境の調整を実施している。平成21年度からは,高齢又は障害により自立困難で住居もない受刑者について,厚生労働省が整備を進めている地域生活定着支援センターと連携し,社会福祉施設に入所することなどができるようにする調整も行っている。これらによる生活環境の調整の結果は,仮釈放審理における資料となるほか,受刑者の社会復帰の基礎となる。
生活環境の調整を開始した受刑者の人員は,平成19年から3年連続で減少していたが,22年は4万3,190人(前年比4.2%増)とやや増加した(保護統計年報による。)。