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 平成21年版 犯罪白書 第6編/第2節/2 

2 裁判員裁判対象事件の動向

 裁判員裁判対象事件(裁判員法施行後であったとした場合に裁判員裁判の対象となった事件である。)の通常第一審終局人員(最近5年間)を罪名別に見ると,6-2-2表のとおりである。
 平成20年における裁判員裁判対象事件の通常第一審終局人員は,2,208人(前年比9.4%減)であり,地方裁判所の通常第一審終局処理人員全体の3.3%である(最高裁判所事務総局の資料による。)。罪名別に見ると,殺人(557人)が最も多く,次いで,強盗致傷(511人),現住建造物等放火(223人)の順であった。

6-2-2表 裁判員裁判対象事件 通常第一審終局人員(罪名別)

 6-2-3表は,地方裁判所ごとに,平成20年の裁判員裁判対象事件の通常第一審終局人員を見るとともに,これに基づいて,裁判員選任確率(同年の選挙人名簿登録者数(各裁判所の照会に応じて,選挙管理委員会から回答のあった有権者数である。)を対象事件の終局処理人員で除した上,更に6(原則的裁判員数)で除した数である。1年間におよそこの人数に1人の割合の者が裁判員に選任される可能性があるということができる。)を見たものである。

6-2-3表 裁判員裁判対象事件 通常第一審終局人員・裁判員選任確率(地裁別)

 裁判員裁判対象事件のおおよその開廷回数の傾向を推測するために,平成20年に通常第一審で終局した裁判員裁判対象事件であって,公判前整理手続に付されたものについて,開廷回数別構成比を見ると,6-2-4図のとおりである。
 開廷回数が3回以下であったものが66.9%,5回以下であったものが87.8%を占め,平均開廷回数は3.5回であった。また,審理期間は,平均で7.1月であった(最高裁判所事務総局の資料による。)。

6-2-4図 裁判員裁判対象事件(公判前整理手続に付された事件)の開廷回数別構成比

 平成20年に通常第一審で裁判員裁判対象事件で有罪判決を受けた者について,科刑状況を罪名別に見ると,6-2-5表のとおりである。

6-2-5表 裁判員裁判対象事件 通常第一審における科刑状況(罪名別)

 なお,裁判員制度は,平成21年5月21日から開始されたが,同年8月3日から6日までの間,東京地方裁判所において,初の裁判員裁判の公判手続が行われた。