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2 高齢犯罪者の現状 各手続段階別の人員及び高齢者の構成比(以下,対象人員に占める高齢者の比率を「高齢者比」という。)の推移は,7-1-12図のとおりである。 7-1-12図 各手続段階別人員・高齢者比の推移 高齢者人員及び高齢者比ともに増加・上昇している。また,7-1-13図は,高齢者人口及び各手続段階別の対象高齢者の犯罪指標の推移を比較したものである。 昭和63年を100とすると,平成19年の高齢者人口は199.2と20年間で約2倍に増加しているのに対し,各手続段階の人員はいずれもそれ以上の増加傾向を示しており,一般刑法犯検挙人員は491.6,一般刑法犯起訴人員は742.3,新受刑者数は607.7,保護観察新規受理人員は501.8に達している。 7-1-13図 各手続段階別高齢者の犯罪指標の推移 一般刑法犯検挙人員の年齢層別の人口比の推移は,7-1-14図のとおりである。7-1-14図 一般刑法犯検挙人員の年齢層別人口比の推移 詳しくは第2章に譲るが,例えば,平成19年の「65〜69歳」の人口比は,15年当時の「30〜39歳」の人口比に並ぶ勢いで増加している。新受刑者の年齢層別人口比の推移は,7-1-15図のとおりであり,検挙人員ほどではないものの,65歳以上の新受刑者の人口比は他の年齢層以上に増加している。 7-1-15図 新受刑者の年齢層別人口比の推移 これらのデータからは,高齢犯罪者の増加は単に高齢者人口の増加のみにより説明できるものではなく,高齢者の活動範囲の拡大や孤立化など高齢犯罪者の増加に拍車をかける他の要因が存在していることが推測される。最後に,平成9年と19年を取り上げて,人口分布の変化と年齢(層)別の犯罪者数を比較してみた。9年と19年の年齢層別一般刑法犯検挙人員及び人口分布は7-1-16図のとおりである。 7-1-16図 年齢層別一般刑法犯検挙人員・人口の推移 平成9年と19年の人口分布は,年齢層ごとに若干高低が見られ,その影響も無視はできないものの,一般刑法犯検挙人員は,14〜19歳では9年が19年を上回っているのに対し,20歳以上では逆転し,60歳代では19年は9年の約2.5倍,70歳以上では約4.6倍となっている。同様に,平成9年と19年の20歳から89歳までの各年齢別に新受刑者数及び人口分布を見たものが,7-1-17図である。 7-1-17図 年齢別新受刑者数・人口の推移 平成9年と19年における高齢新受刑者数を比べると,19年が9年を大きく上回っており,19年の方が,より高齢で新受刑者となる者が増えている。しかも,いわゆる「団塊の世代」(昭和22〜24年に生まれた者)に属する新受刑者の数は,9年(当時「団塊の世代」は48〜50歳くらい)及び19年(同じく58〜60歳くらい)ともに,ほぼ同水準を保って顕著に多いことが見て取れ,今後,高齢犯罪者の増加を抑えていかなければ,「団塊の世代」が高齢に達するとともに,現在よりもはるかに多数の高齢新受刑者が生まれるおそれがある。 |