前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成19年版 犯罪白書 第7編/第3章/第5節/3 

3 初入者における出所後の再犯状況

 7-3-5-3図は,70万人初犯者・再犯者混合犯歴を対象に,初入者(ただし,執行猶予取消しになったことのある者を除く。)について,刑事施設からの出所事由(仮釈放及び満期釈放に限る。以下,本節において同じ。)別に,出所後の再犯の有無及び再犯期間を見たものである。

7-3-5-3図 初入者の出所事由別再犯期間別構成比

 仮釈放者においては,満期釈放者と比べて,出所後再犯に及ぶ比率が低く,かつ,再犯に及ぶまでの期間も長い。
 また,重大犯罪である殺人と強姦について,刑事施設からの出所事由別に,出所後の再犯の有無を見たのが,7-3-5-4図である。

7-3-5-4図 殺人・強姦における出所事由別再犯有無別構成比

 殺人及び強姦のいずれにおいても,7-3-5-3図に示した全罪名について見たものと比べ,再犯のない者の比率が高くなっている。また,仮釈放者においては,満期釈放者と比べて出所後再犯に及ぶ比率が低い。
 以上のように,仮釈放者においては,重大犯罪を始めとして,満期釈放者と比べて出所後再犯に及ぶ比率が低く,かつ,再犯に及ぶまでの期間も長くなっており,このことは,一般的には,仮釈放審理が再犯危険性等を吟味した上で適正になされ,社会内処遇が機能していることを示している。
 もっとも,仮釈放で刑事施設を出所した者の中には,その後再犯に及んでいる者がいることも事実であり,今後,更に仮釈放審理を適正に行うべく様々な観点からの検討を進めていくことが求められよう。