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 平成18年版 犯罪白書 第6編/第2章/第1節/1 

第1節 一般刑法犯の認知件数の動向

1 一般刑法犯の認知件数の推移

 昭和21年以降の一般刑法犯,窃盗及び窃盗を除く一般刑法犯の認知件数の推移は,6-2-1-1図のとおりである。

6-2-1-1図 一般刑法犯の認知件数の推移

 一般刑法犯の認知件数は,戦後の混乱期の後,昭和20年代後半以降おおむね140万件前後で推移していた。40年代に入って減少し,48年に戦後最少(約119万件)を記録したが,翌49年以降,年ごとに増減を繰り返しながら,ゆるやかな増加を続けた。近時においては,平成7年に前年と比べてわずかに減少した後は,8年以降,一貫して急激に増加し,14年には戦後最多の約285万件を記録した。しかし,翌15年から減少に転じ,17年は約227万件となった(第1編第1章第1節1参照)。
 本章では,一般刑法犯の認知件数等の犯罪動向について,戦後最少を記録した昭和48年以降を3期に分けて分析する。各期における一般刑法犯の認知件数の動向を概括的に把握すると,以下のとおりである。
[1] 第I期(昭和48年から平成7年の間)
 第I期は,昭和48年から,戦後最多を記録した平成14年に向けての増加開始前の時期で前年と比べてわずかに減少を記録した最後の年である7年までの時期である。
 この期において,一般刑法犯の認知件数は,約59万件増加している。同期の窃盗の認知件数を見ると,この時期の全体の増加分にほぼ等しい約60万件の増加となっている。窃盗を除く一般刑法犯の認知件数は,ほぼ横ばいに推移している。
[2] 第II期(平成8年から14年の間)
 第II期は,平成8年から戦後最多を記録した14年までの時期である。
 第I期の最終年である平成7年から14年にかけて,一般刑法犯の認知件数は,約107万件増加した。同期の窃盗を見ると,約81万件増加しており,この時期の全体の増加分の約75%を占める。第I期と異なり,窃盗を除く一般刑法犯の増加分が相応の部分を占めているのがこの時期の特徴である。窃盗を除く一般刑法犯は,特に,12年以降,急増している。
[3] 第III期(平成15年から17年の間)
 第III期は,認知件数が減少の兆しを見せ始めた平成15年から17年までの時期である。
 第II期の最終年である平成14年から17年にかけて,一般刑法犯の認知件数は,約58万件減少した。同期の窃盗を見ると,約65万件の減少となっており,この時期の全体の減少数を超えている。この時期において,窃盗を除く一般刑法犯は,逆に増加したこととなる。窃盗を除く一般刑法犯は,16年まで増加を続けており,同年にピークを記録した後,17年にはやや減少した。