第2章 最近の犯罪動向の分析 近年の犯罪情勢の急激な悪化は,国民の犯罪に対する不安を高めるとともに,わが国の犯罪抑止対策や再犯防止対策等の在り方について,再考を促すこととなった。 近年,我が国においては,少子高齢化という人口構造の急激な変化の下,情報化,国際化,消費社会化が進行し,家庭,職場,地域,情報・消費の場等にも大きな影響が及んでいる。犯罪の増減には,経済,教育,福祉,地域特性等,多くの複雑な要因が絡み合って影響を与えており,近年の犯罪情勢の背景要因を特定することは容易ではない。しかし,犯罪の認知件数が減少の兆しを見せ始めたこの時期に,これまでの犯罪動向を客観的データに基づいて分析し,今後の犯罪対策を講ずる上での基礎資料を提供することには意義があると考える。
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