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 平成16年版 犯罪白書 第5編/第4章/第3節/2 

2 長期刑受刑者の仮出獄審理の充実と仮出獄後の中間処遇

 刑務所を出所する者にとって社会復帰は必ずしも容易ではない。取り分け,長期刑の受刑者の場合,重大な罪を犯しているため社会の見る目が厳しく,また,釈放後の生活,就職,家族との折り合いなどに関する困難な問題を抱えていることが多いことから,仮出獄の審理及びその後の保護観察に当たって特段の配慮が必要である。
 そこで,昭和54年以降,長期刑受刑者(無期刑及び執行刑期8年以上の受刑者をいう。以下,本項において同じ。)については,保護観察官による調査をできるだけ早く開始し,定期的に本人に対する面接調査を実施するなどして,仮出獄審理の充実を図るとともに,仮出獄後の保護観察への円滑な移行を図るための中間処遇が行われることとなった。当初,中間処遇の対象は,一部の刑務所に収容されている長期刑受刑者に限られていたが,61年からはすべての施設の長期刑受刑者を対象とすることとなった。
 5-4-3-2図は,実施対象施設が拡大された昭和61年以降における中間処遇の実施状況を見たものである。平成15年においては,無期刑仮出獄者16人中15人,長期有期刑(執行刑期8年以上の有期刑をいう。以下,本項において同じ。)仮出獄者122人中90人について中間処遇が実施されており,実施率はそれぞれ93.8%,73.8%であった(なお,同年における長期有期刑仮出獄者122人の中には退去強制事由に該当する外国人26人が含まれており,これを除外した場合の実施率は93.8%となる。法務省保護局の資料による。)。また,最近10年間の通算で見ると,中間処遇実施率は,無期刑仮出獄者が87.6%,長期有期刑仮出獄者が87.0%となっている。
 中間処遇の内容等については,本編第5章第2節4(7)を参照されたい。

5-4-3-2図 中間処遇の実施状況