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 平成16年版 犯罪白書 第5編/第4章/第3節/3 

3 仮出獄と被害者に対する配慮

 刑事司法における被害者に対する配慮については第3編第2章で記述した。ここでは,そのうち仮出獄に関連するものについて紹介する。

(1) 被害者等調査

 仮出獄の実質的要件である「改悛の状」の有無は,[1]悔悟の情,[2]更生意欲,[3]再犯のおそれ,[4]社会感情などを総合的に考慮して判定される。このうち[4]の社会感情を判断する要素の一つとして被害者感情があり,死亡・重傷事案等については,必要に応じて,被害者や遺族の感情,被害弁償の有無等についても調査し,仮出獄審理の重要な判断資料としている。平成15年において,受刑者の仮出獄に関して行われた被害者等調査の件数は760件であった(法務省保護局の資料による。)。

(2) 被害者等に対する出所情報等の提供

 事件の被害者が,受刑者の釈放の有無及び時期について関心を持つのは自然なことであり,被害者等に対して,出所情報を通知する制度が設けられている。この制度には2種類のものがあり,第1のもの(被害者等通知)は,希望する被害者等に対し,刑執行終了予定時期を通知するとともに,受刑者の釈放後に,釈放の事実及び年月日を通知するものである。第2のもの(釈放予定等通知)は,希望する被害者等に対し,再被害防止のために必要がある場合,釈放前の段階で,満期又は仮出獄による受刑者の釈放予定,帰住地等について通知するものである。
 5-4-3-3表は,釈放予定等通知制度が導入された平成13年10月以降,これらの制度による通知が行われた件数を示したものである。

5-4-3-3表 受刑者の釈放等に関する被害者等への情報の提供状況