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1 近年の被害者の男女別・年齢 近年凶悪犯罪の被害者層にも変化が生じていることは,既に第2章第2節2で面識の有無という観点からも概観したところであるが,本節では,更に男女別・年齢層別・世帯別等の観点から見ることにする(なお,本節における被害者とは,認知事件における主たる被害者をいうものとする。)。
(1) 殺人の被害者 5―3―6―1図は,殺人被害者数の平成10年から14年までの平均を男女別・年齢層別に示したものである。男性が女性の1.8倍と多く,男性では,数の多い順から,50歳代,40歳代,60歳以上,30歳代,20歳代,20歳未満となっており,世代間の差は見られないが,女性では,60歳以上が全体の30.5%(65歳以上に限っても23.8%)を占め,他の世代は30歳代がやや少ないもののせいぜい10%台にとどまり,高齢者の比率が高くなっている。
(2) 強盗の被害者 5―3―6―2図は,強盗(全体)の被害者数の平成10年から14年までの平均を,男女別・年齢層別に示したものである。男性が女性の1.9倍と多く,男性では,多い順に,20歳代,20歳未満,30歳代,50歳代,40歳代,60歳以上となっており,30歳未満の若年者層がほぼ半数近くを占めている。女性でも,20歳代が最も多いが,以下多い順に60歳以上,30歳代,50歳代,40歳代,20歳未満の順となっており,若年者層が42.4%を占めているものの,60歳以上の高齢者も18.3%を占めている。
5―3―6―3,5―3―6―4,5―3―6―5図は,強盗致傷・強盗致死・強盗強姦各被害者数の平成10年から14年までの平均を,男女別・年齢層別に示したものである。 強盗致傷について見ると,ほぼ強盗全体と同様であり,男性が女性の2.4倍と多く,男性では20歳代以前の若年者層が半数を超えているのに対して,女性では,若年者層が33.8%を占めているものの,60歳以上の高齢者層も21.5%を占めるなど,強盗全体での高齢者よりも比率が高い。 強盗致死について見ると,男性は女性の1.7倍と差が縮まっており,男性では,60歳以上が最も多く,31.6%を占め,次いで50歳代が多く,この二つの世代を合わせると半数を超える。また,女性では,60歳以上が47.4%を占めて最も多く,強盗致傷においてよりも更に高齢者の比率が高くなっている。 強盗強姦について見ると,20歳代が最も多く,次いで20歳未満の順で,この若年層で8割を超えている。強盗(全体)・強盗致傷・強盗強姦では,若年者層が被害者となる比率が高いが,悪質な事犯である強盗致死では高齢者それも女性が被害者となる割合が高いことが特徴的である。 5―3―6―1図 殺人 男女別年齢層別被害者数 5―3―6―2図 強盗(全体)男女別年齢層別被害者数 5―3―6―3図 強盗致傷 男女別年齢層別被害者数 5―3―6―4図 強盗致死 男女別年齢層別被害者数 5―3―6―5図 強盗強姦 年齢層別被害者数 |