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1 保護観察対象者の動向 5-4-2-1図は,殺人及び暴力的9罪種(器物損壊を除く。)について,保護観察新規受理人員の動向を,保護観察の種類別罪種別に見たものである。第2編第5章第3節で述べたように,保護観察の対象者は,少年については,家庭裁判所の決定により保護観察に付された保護観察処分少年(図の[1])と,少年院を仮退院した者である少年院仮退院者(図の[2])とがある。また,成人では,行刑施設を仮出獄した者である仮出獄者(図の[3])と,裁判所で刑の執行が猶予され保護観察に付された保護観察付き執行猶予者(図の[4])とがある。ここでは,これらを少年と成人に分けて見てみる。
5-4-2-1図 保護観察新規受理人員の推移 (1) 少年の新規受理人員 保護観察処分少年では,強盗,傷害及び恐喝の3罪種の新規受理人員の増加傾向が顕著であり,昭和59年前後から平成6年ころまでのいわゆる横ばいの期間があるものの,7年以降の増加は突出しており,13年の人員を7年のそれと比較(以下「短期の比較」という。)すると,強盗で1.7倍,傷害で1.8倍,恐喝で2.0倍,となっており,13年と昭和49年の比較(以下「長期の比較」という。)では,それぞれ3.2倍,4.7倍,3.4倍,となっている。少年院仮退院者も同様の傾向が指摘でき,短期の比較をするとそれぞれ2.9倍,2.1倍,2.3倍,となっており,長期の比較では,それぞれ5.6倍,11.7倍,4.7倍,となっている。総じて言えば,少年院仮退院者の増加については,短期の比較では強盗が突出して急増しているのが目に付き,長期の比較では傷害の伸びが著しいことが分かる。
また,住居侵入と強制わいせつを見ると,保護観察処分少年では,増加の傾向がうかがえ,長期の比較では,住居侵入が3.0倍,強制わいせつが1.7倍と増加している。なお,少年院仮退院者の強姦は,ここ1,2年減少している。 (2) 成人の新規受理人員 成人の保護観察新規受理人員について,罪種別に見ると該当人員が最も多いのは傷害であるが,その動向は認知件数の推移(本編第2章第1節1参照)と類似の傾向が見られる。すなわち,平成7年前後まで全体的な長期減少傾向が続いた後,8年ないし10年ころから増加傾向に転じている。
次に保護観察の種類別罪種別の動向を見ると,仮出獄者については,受理人員が10人台を超えず対象者の少ない脅迫を除けば,長期の比較で増加が見られるのは強制わいせつ(2.1倍)と住居侵入(1.3倍)である。一方,短期の比較で増加が見られるのは,強制わいせつ(1.8倍),強盗(1.5倍),傷害(1.3倍),強姦(1.2倍),恐喝(1.1倍)である。保護観察付き執行猶予者については,長期の比較で増加が見られるのは,仮出獄者の場合と同様に強制わいせつ(1.9倍)と住居侵入(1.8倍)であり,短期の比較では,傷害(1.6倍)と恐喝(1.5倍)である。 |