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2 交通犯罪者の処理状況及び処遇 (1) 検察庁における処理状況 1-1-3-5図は,平成13年中の検察庁における終局処理人員の処理区分別構成比を一般事件(交通関係業過を除く刑法犯及び道交違反を除く特別法犯)と交通事件とに分けて見たものである。一般事件に比べて交通関係業過の公判請求の比率は極めて低い。この現象については,交通事故の防止は刑罰のみに頼るべきものではなく,「くるま社会」で「国民皆免許時代」と言える今日,軽微な事件で国民の多数が刑事罰の対象となるような事態は,刑罰の在り方として適当ではないと考えられること,及び保険制度の普及に伴い,治療費や修繕費が保険で補償できる場合が多くなってきたこと,などがその理由として挙げられよう。一方,一般事件に比べて道交違反は,交通関係業過同様,公判請求の比率が極めて低いものの,略式命令請求の比率は極めて高くなっている。
1-1-3-5図 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比 (2) 裁判所における処理状況 1-1-3-6図は,業過及び道路交通法違反について,平成13年中の通常第一審における懲役又は禁錮の言渡しを受けた人員の言渡し刑期を見たものである。業過については,懲役又は禁錮の言渡しを受けた者のうち17.0%が実刑に処せられており,刑期別構成比は1年以上2年未満が最も高い比率である。一方,道路交通法違反については,懲役又は禁錮の言渡しを受けた者のうち19.8%が実刑に処せられており,刑期別構成比は6月未満が最も高い比率である。
1-1-3-6図 通常第一審における業過・道路交通法違反の言渡し刑期別構成比 なお,平成13年中,業過で通常第一審において罰金の言渡しを受けたものは160人,略式手続によって罰金に処された者は9万2,774人であった。一方,道路交通法違反で通常第一審において罰金の言渡しを受けたものは338人,略式手続によって罰金に処された者は75万4,827人であった。(3) 交通犯罪者に対する矯正及び保護 1-1-3-7表は,最近10年間における交通事犯(罪名が業過及び道路交通法違反)新受刑者数の推移を見たものである。交通事犯新受刑者数は,平成10年から増加に転じ,13年は前年の12.8%増となっており,罪名別の内訳は,業過受刑者が33.0%,道路交通法違反受刑者が67.0%となっている。刑期については,業過受刑者の半数が1年を超えるのに対して,道路交通法違反受刑者のうち1年を超える者は7.0%にとどまっている。業過受刑者,道路交通法違反受刑者のいずれも,近年,若干ではあるものの1年を超える比率が高くなる傾向がうかがえる。
1-1-3-7表 交通事犯新受刑者の刑名・刑期別人員の推移 なお,交通事犯受刑者のうち,開放的処遇が適当と判断された成人で,[1]交通事犯以外の犯罪による懲役刑を併有しないこと,[2]交通事犯以外の犯罪による受刑歴がないこと,[3]刑期が概ね3月以上であること,及び[4]心身に著しい障害がないことの諸条件を満たす場合,市原刑務所等全国6か所の指定施設に集禁し,原則として,居室,食堂,工場等の施錠や身体検査等は行わず,行刑区域内では戒護者を付けず,面会もなるべく立会者を置かずに行うようにしている。約半数の交通事犯受刑者が,こうした処遇を受けている。1-1-3-8図は,最近10年間における交通事犯(罪名が業過及び道路交通法違反)による保護観察対象者の新規受理人員を保護観察の種類別に見たものである。いずれの種類においても,新規受理人員は横ばい又は漸減傾向にある。とは言え,平成13年の保護観察対象者全体のうち交通事犯保護観察対象者が占める比率は45.5%となっており,特に保護観察処分少年のうち交通事犯少年は64.0%を占めている。我が国の更生保護において,交通事犯保護観察対象者の処遇が大きなウェートを占めていることが分かる(交通短期保護観察制度については第4編第2章第6節参照)。 1-1-3-8図 交通事犯保護観察対象者新規受理人員の推移 |