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 平成14年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2 

2 特別法犯の動向

 本項においては,特別法犯のうち,他で記述される交通犯罪(本章第3節),薬物犯罪(同第4節),財政経済犯罪(同第5節),選挙犯罪(同第6節)及び外国人犯罪(第2章第2節)を除く特別法犯のうち,検察庁新規受理人員が比較的多数に上っている軽犯罪法,銃刀法,競馬法・自転車競技法・モーターボート競走法,風営適正化法,売春防止法,廃棄物処理法及び海洋汚染防止法の9法への違反,近年新たな法令の制定があった18歳未満の児童を被害者とする犯罪,労働安全衛生法違反及び労働基準法違反について,その動向を見ることとする(巻末資料1-4参照)。
 1-1-2-3図は,最近10年間における軽犯罪法違反,銃刀法違反,売春防止法違反,風営適正化法違反,競馬法・自転車競技法・モーターボート競走法違反,廃棄物処理法違反,海洋汚染防止法違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものであり,軽犯罪法違反,銃刀法違反,廃棄物処理法違反が増加傾向にある。

1-1-2-3図 特別法犯の検察庁新規受理人員の推移

 廃棄物処理法違反については,平成13年4月に特定家庭用機器再商品化法(いわゆる家電リサイクル法,平成10年法律第97号)の家電製品の処分を有料化する規定等が施行され,廃棄費用を免れるための不法投棄事犯も検挙されている(警察庁の資料による。巻末資料1-4参照)。
 1-1-2-4図は,最近10年間における児童福祉法違反,児童買春・児童ポルノ禁止法違反,青少年保護育成条例違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものであるが,平成13年においては,いずれも前年と比較して増加している。

1-1-2-4図 18歳未満の児童を被害者とする特別法犯の検察庁新規受理人員の推移

 1-1-2-5図は,最近10年間における労働安全衛生法違反,労働基準法違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。

1-1-2-5図 労働関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移

 平成13年の労働安全衛生法違反の検察庁新規受理人員は9年以降減少傾向にあるが,労働基準法違反については11年以降増加傾向にある。
 なお,ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)が平成12年11月に施行され,同年における同法違反の検察庁新規受理人員は18人であったが,13年には126人に増加している(検察統計年報による。)。
 また,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)が,平成13年4月13日に公布され,同年10月から14年4月にかけて施行された。同法律は,男女平等を実現するため,潜在化しやすい配偶者の暴力から被害者の救済を図ることを目的としている。同法律は,被害者が,配偶者からのさらなる暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに,裁判所が,被害者の申立により,その生命又は身体に危害を加えられることを防止するため,当該配偶者に対し,6か月間の接近禁止又は被害者と共に生活の本拠としている住居からの2週間の退去を命じる旨の保護命令を発する制度を設け,同命令に違反した者には,懲役刑を含む刑罰を科すものとしている。同年における同法違反の検察庁新規受理人員は2人である(検察統計年報による。)。
用語解説

検察庁新規受理人員
 当該調査年中に検察官認知又は直受の事件及び司法警察員(特別司法警察員及び国税庁監察官を含む)から送致(付)された事件の人員をいいます(検察統計年報による。)。