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1 全体的動向 全期間を通じて,一般刑法犯の認知件数の増加は,窃盗の増加が主要因であり,このことは,第1節1において指摘したとおりである。本節では,窃盗以外の一般刑法犯の動向を見ることとする。
窃盗を除く一般刑法犯の認知件数は,昭和期では2万1,103件(10.7%)の増加,平成期では9万3,351件(42.6%)の増加を示している。昭和期では,詐欺,遺失物等横領及び器物損壊等の3罪種の認知件数の増加分が合計6万5,538件であり,この約6万件を認知件数から除くと,昭和期の窃盗を除く一般刑法犯の認知件数は4万4,435件という相当な減少になる。 前記3罪種のうち,遺失物等横領と器物損壊等は,平成期に入っても,合計8万2,947件と大幅な増加を続けており,これを除くと平成期における認知件数の増加は1万404件にとどまっている。 なお,遺失物等横領と器物損壊等は,全期間を通じて認知件数が増加しており,これらを合わせた認知件数が,窃盗を除く一般刑法犯の認知件数に占める比率は,昭和49年の5.4%から平成12年には46.0%に大幅に上昇している(巻末資料IV-2・本章第1節参照)。 IV-21図は,全期間における窃盗を除く一般刑法犯から,更に遺失物等横領と器物損壊等を除いた認知件数の推移を示したものである。 IV-21図 窃盗,遺失物等横領及び器物損壊等を除く一般刑法犯の認知件数の推移 当該認知件数は,おおむね減少傾向にあり,特に昭和60年から平成元年までは,4年間で4万872件と大幅な減少を示している。しかし,8年以降は増加に転じ,特に12年は前年比3万4,467件(25.7%)増と大幅に増加し,前記大幅減少前の認知件数の水準に戻った。遺失物等横領及び器物損壊等は,全期間を通じて認知件数の増加を続けてきた窃盗及び交通関係業過と並んで,認知件数を増加させてきた。これに対し,それ以外の一般刑法犯は,平成7年までは,おおむね減少傾向を示してきた。しかし,8年以降は,これらも増加に転じ,しかも,増加の度合いを強める兆しを示している。最近の5年間について見ると,刑法犯は,窃盗,交通関係業過,遺失物等横領及び器物損壊等に限らず,全面的な増加へと動きを転じたといえるであろう。また,こうした中で,その他の一般刑法犯の検挙率も,窃盗の検挙率の推移とほぼ同調する形で,近年大幅に低下している(本章第2節参照)。 |