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1 刑法犯の認知件数の増加と窃盗 刑法犯の認知件数は,昭和49年を最後の底として,50年以降ほぼ一貫して増加を続け,57年には,それまで戦後最高件数であった45年を上回り,平成8年以降は,5年連続して戦後最高件数を更新している。これを増加率で見ると,昭和49年(167万1,965件)から平成12年(325万6,109件)までの26年間で,94.7%に達している。ことに,近年における刑法犯の認知件数の前年比伸び率を見ると,7年以降は,0.4%,1.2%,2.1%,6.8%,7.9%,12.1%と毎年上昇しており,しかも加速度的増加を示している。
犯罪動向の分析では,一般刑法犯(全刑法犯のうち交通関係業過を除いた刑法犯をいう。以下,本章において同じ。)の数値を用いることが多いが,一般刑法犯の認知件数も,刑法犯の認知件数とほぼ同様の推移を示しており,やはり平成8年以降,5年連続して戦後最高を更新している(巻末資料I-1参照)。 窃盗及び交通関係業過が,刑法犯の認知件数に占める割合を見ると,全期間(昭和49年を基準として平成12年までの期間をいう。以下,本章において同じ。)では,昭和60年までは80%台後半を,それ以降は90%台前半を,それぞれ占めている。 IV-2図は,刑法犯総数,窃盗,交通関係業過,窃盗を除く一般刑法犯の4項目について,全期間における認知件数の推移を認知指数(基準年の認知件数を100とした指数をいう。以下,本章において同じ。)で見たものである。窃盗と交通関係業過の推移は,刑法犯総数の推移と近接していることが分かる。また,窃盗の上昇が刑法犯総数の上昇を上回っていることが認められる。 IV-2図 刑法犯の類型別認知指数の推移 IV-1表は,前記の4項目について,全期間における認知件数の増加状況を示したものであり,併せて,昭和期(昭和49年を基準として昭和63年までの14年間をいう。以下,本章において同じ。)と平成期(昭和63年を基準として平成12年までの12年間をいう。以下,本章において同じ。)における増加状況も示したものである。IV-1表 刑法犯の類型別認知件数の増加状況 刑法犯の認知件数は,全期間において,158万4,144件増加しているが,そのうち111万8,011件(70.6%)は窃盗の認知件数の増加によるものである。窃盗の認知件数の増加率は,全期間において110.3%(認知指数年平均4.2増),昭和期のみで40.4%(同2.9増),平成期のみで49.8%(同4.2増)となっている。これに対し,同じ一般刑法犯でも,窃盗を除く一般刑法犯の認知件数の増加率を見ると,平成期のみでは42.6%(同3.6増)とほぼ窃盗に匹敵するものの,全期間においては57.8%(同2.2増),さらに昭和期のみでは10.7%(同0.8増)にとどまっている。また,交通関係業過の認知件数の増加率を見ても,全期間では76.3%(同2.9増),昭和期のみでは22.8%(同1.6増),平成期のみでも43.6%(同3.6増)と,ほぼ窃盗を除く一般刑法犯と同様である。これらのことから,昭和期において,窃盗の増加は,現在まで続く刑法犯総数の認知件数の増加基調を形成したことが明らかである(巻末資料IV-2参照)。 |