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3 裁判所における窃盗の処理状況 巻末資料IV-10は,統計の存する昭和50年から平成12年において,通常第一審(地方裁判所又は簡易裁判所)における窃盗の実刑率(有罪判決を受けた者に占める実刑判決を受けた者の比率をいう。以下,本節において同じ。)と前科者率(有罪判決を受けた者に占める罰金以上の前科を有する者の比率をいう。以下,本節において同じ。)の推移を見たものである。
実刑率は,平成4年までは40%台後半で推移しており,特に昭和期末の昭和62年と63年には49%台まで上昇したが,その後低下して,平成5年以降は40%台前半で推移し,11年は42.9%,12年は44.0%となっている。一方,前科者率は,昭和期末には60%台後半まで上昇したが,その後低下する傾向にある。また,実刑率の推移と前科者率の推移とはほぼ同調しており,窃盗の科刑のうち,実刑と執行猶予の選択の局面において,被告人の前科の有無が考慮されていることがうかがえる。 IV-20図は,窃盗により通常第一審において実刑を言い渡された者について,昭和50年から平成12年までの期間における刑期別分布の推移を見たものである(巻末資料IV-10参照)。 IV-20図 通常第一審における窃盗の実刑刑期分布の推移 全体的傾向としては,「1年未満」及び「6月未満」の各層の構成比がいずれも大きく低下しており,その合計も昭和50年の31.6%から,平成11年の16.1%及び12年の15.8%へと半分に低下している。その分,「2年未満」から「10年以下」までの各層の構成比が上昇しており,特に「3年以下」から「10年以下」の各層の構成比の合計は,昭和50年から平成3年までの期間で,26.4%から40.5%へと大きな伸びを示した。しかし,その後,前記のとおり実刑率が40%台後半から40%台前半に低下するとともに,実刑の言渡しを受けた者の中でも「3年以下」から「10年以下」の各層の刑の言渡しを受けた者の構成比も頭打ちとなり,実刑の場合の刑期は,「2年未満」の層に集中する傾向を見せている。12年における「2年未満」の層の構成比は44.7%であり,3年と比較すると4.5ポイント上昇している。 その一方,執行猶予の言渡しを受けた者では,「3年以下」及び「2年未満」の各層の構成比の上昇傾向が顕著であり,特に刑期が「2年未満」の層において執行猶予の言渡しを受けた者は,平成12年においては,窃盗により有罪判決を受けた者の40.9%を占めるに至っている。 |