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2 主要特別法犯の動向 本項においては,特別法犯のうち,他で記述される財政経済犯罪(本章第3節),選挙犯罪(同第4節),交通犯罪(第4編第3章),薬物犯罪(同第4章)及び外事犯罪(同第5章)を除く主要特別法犯について,その動向を見ることとする(巻末資料I-4参照)。
I-6図,7図,8図,9図,10図は,それぞれ最近10年間又は20年間における保安関係,風俗関係,環境関係及び労働関係の特別法犯並びに条例違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。 I-6図 保安関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移 I-7図 風俗関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移 I-8図 環境関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移 I-9図 労働関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移 I-10図 条例違反の検察庁新規受理人員の推移 保安関係では,軽犯罪法違反の急激な増加が続いており,平成12年も最近10年間での最高となった。送致人員の多い違反態様を概観すると,銃刀法違反では,刃物の携帯,けん銃等の加重所持,けん銃等の不法所持,軽犯罪法違反では,はり札・標示物除去,凶器携帯,田畑等侵入,火薬類取締法違反では,譲渡・譲受,所持,貯蔵となっている(警察庁の統計による。)。なお,これまでストーカー行為に対しては,軽犯罪法違反等の特別法犯や脅迫罪等の刑法犯として対応していたが,平成12年5月24日,ストーカー行為等の規制に関する法律(平成12年法律第81号)が制定され,同年11月に施行された。同法は,都道府県公安委員会がストーカー行為(同一の者に対して恋愛感情等に基づくつきまとい等の行為を反復すること)を行う者に対して,ストーカー行為の禁止命令を出せる制度を設け,同命令に違反した者,ストーカー行為をした者等を処罰することとしている。同年内における同法違反による検察庁新規受理人員は18人である(検察統計年報による。)。 風俗関係では,平成12年は,ほとんどの罪種において前年比で減少しており,6年以降450人前後でほぼ横ばいであった児童福祉法違反も前年比で133人減少している。競馬法違反及びモーターボート競走法違反についても,減少が著しい。12年の送致人員の多い違反態様を概観すると,売春防止法違反では,周旋等,勧誘等,場所の提供であり,児童福祉法違反では,児童に淫行をさせる行為である(警察庁の統計による。)。 環境関係では,全般的な減少傾向が持続する中で,廃棄物処理法違反だけが,平成9年を境に急激な増加に転じた後,増加率の減少を示しつつも増加傾向を維持し,12年では,前年比で102人増加した。過去20年間における新規受理人員で見ても,他の罪種がおおむね減少傾向にある中で,廃棄物処理法違反は,平成元年から9年まで増減を繰り返した後,前記のとおり,急激な増加傾向に転じたものである。同法違反は,過去3年間で平成元年以降における最高値を毎年更新しており,第2のピークを形成しつつある。 労働関係では,労働者派遣法違反が平成9年のピーク時から急激な減少を見せたが,労働安全衛生法違反の減少傾向が微増に転じたほか,労働基準法違反の増加傾向が続いている。 条例違反では,平成5年以降増加傾向にあった青少年保護育成条例違反が,11年以降減少に転じているが,これは同年に施行された児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律により,同法違反に該当するものについては,条例違反として処罰できなくなったことが関係しているものと思われる。 |