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 平成12年版 犯罪白書 第7編/第6章/第5節 

第5節 まとめ

 調査結果の概要を,調査対象者の暴力組織との関係,保護観察実施上の問題点及び成り行きを中心にまとめると,以下のとおりである。
[1] 暴力組織内の地位又は暴力組織との関係については,幹部が1割,組員が4割弱等となっており,年齢層別では,幹部は40歳以上に,組員は20歳代前半に多い。また,暴力組織に加入し,又は暴力組織加入者と交際していた期間が10年以上の者では幹部が3分の1を占めている。調査対象者が暴力組織からの離脱や絶縁の意思を有することを示す何らかの資料が認められたのは43.0%である。
[2] 保護観察開始当初又は保護観察の過程で発生した問題点について見ると,「就労状況が不安定(頻回転職,無職)である」及び「本人と暴力組織との関係が強い」には,それぞれ総数の6割以上が該当しているほか,「規範意識,遵法精神が欠如している」及び「薬物の乱用が見られる」にも,それぞれ総数の3分の1以上が該当している。問題点の改善の有無について見ると,改善したとするものの比率が高いのは,「薬物の乱用が見られる」(54.7%),「就労先又は生計の手段に問題がある」(44.0%)などであり,改善しなかったとするものの比率が高いのは,「言動に表裏性がある」(75.8%),「価値観が偏っている」(53.8%)などである。
[3] 保護観察終了事由は,期間満了が62.6%,取消しが35.8%(再犯31.8%,余罪1.3%,遵守事項違反2.6%)となっており,平成11年に保護観察を終了した保護観察付き執行猶予者全体と比べると,期間満了の比率がやや低く,取消しがやや高くなっている。
[4] 公判請求された再犯,罰金等に処された再犯又は起訴猶予のいずれかがあった者は,総数の50.3%に当たる152人である。公判請求された再犯があった者は,総数の36.8%に当たる111人であり,このうち102人(91.9%)は,執行猶予取消しにより保護観察が終了している。再犯事件と暴力組織との関連があるものは少ない。再犯時期について見ると,公判請求されたものでは6月以内のものが3分の1を占め,1年以内のものが半数以上となっており,罰金等に処されたものでもほぼ同様となっている。罰金等に処されたものについて,9割近くは保護観察所において何らかの措置がとられている。