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 平成12年版 犯罪白書 第7編/第6章/第3節/2 

2 保護観察実施上の問題点と改善状況

 VII-44表は,調査対象者が暴力組織からの離脱や絶縁の意思を有することを示す資料を見たものである。

VII-44表 調査対象者の離脱意思を示す資料

 今回の調査対象者の中で,離脱や絶縁の意思を有することを示す何らかの資料が認められたのは43.0%である。そのうち,記録上,離脱届が出されていたり,破門状が出ていることが明らかなもの(判決書等にその旨明記されている場合を含む。)は極めて少数であり,大半は,判決書,執行猶予者保護観察事件調査票等の言渡裁判所作成の資料の中で,「本人が離脱の意思を示している」などの情状が記載されているものである。
 保護観察中の接触及び実態把握における困難の状況を見たものがVII-45表である。接触が困難な状況が,「当初から一貫して,全く又はほとんど見られなかった」者は約4割であり,その他は接触困難な状況が生じている。生活実態の把握に関しても6割を超える者の生活実態把握が困難な状況が生じている。

VII-45表 接触及び生活実態把握における困難の状況

 VII-46表は,調査対象者の保護観察期間中における所在不明の状況を引受人別に見たものである。当初から,又は途中から保護観察の終了まで所在不明の状態が続いた者が総数の15.6%,保護観察期間中に一時的に所在不明の状態になった者が同じく11.3%となっている。引受人別に見ると,所在不明の状態になったことがある者の比率(「当初から所在不明」,「途中から所在不明」及び「一時所在不明」の合計)は,引受人が配偶者の場合には12.9%であるのに対して,知人の場合には36.8%,雇主の場合には66.7%となっている。

VII-46表 引受人別に見た所在不明の状況

 VII-15図は,保護観察開始当初又は保護観察の過程で発生した問題点のうち,調査対象者総数の10%以上が該当したものについて見たものである。「就労状況が不安定(頻回転職,無職)である」及び「本人と暴力組織との関係が強い」にはそれぞれ総数の6割以上が該当しているほか,「規範意識,遵法精神が欠如している」及び「薬物の乱用が見られる」にも,それぞれ総数の3分の1以上が該当している。

VII-15図 保護観察実施上の問題点

 VII-16図は,問題点別に改善状況の構成比を見たものである。改善したとするものの比率が高いのは,「薬物の乱用が見られる」(54.7%),「就労先又は生計の手段に問題がある」(44.0%)などであり,改善しなかったとするものの比率が高いのは,「言動に表裏性がある」(75.8%),「価値観が偏っている」(53.8%)などである。

VII-16図 問題点の改善状況別構成比