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 平成12年版 犯罪白書 第7編/第5章/第5節 

第5節 暴力団離脱指導の受講状況等

 調査対象施設では,収容している暴力団関係受刑者に対して,暴力団離脱指導を受講するよう働きかけを行っている。今回の特別調査において,暴力団離脱指導を受講したと回答した者は,暴力団関係受刑者のうち129人(17.2%)であった。
 VII-19表は,暴力団関係受刑者に対し,「組に加入して良かったと思いますか」及び「このたびの受刑中に,組を離脱するための指導・教育を受けたことがありますか」の質問をし,それぞれ得られた回答結果の関係について見たものである。

VII-19表 暴力団加入に対する意識(暴力団離脱指導受講の有無別)

 離脱指導を「受けた」と回答した者のうち,暴力団に加入して「良かったと思う」と答えた者は16.5%,「良かったとは思わない」と答えた者は46.5%,「良かったかどうかは分からない」と答えた者は37.0%である。
 VII-20表は,暴力団離脱指導の受講の有無と,所属していた暴力団での地位との関係を示したものである。

VII-20表 暴力団離脱指導受講の有無(所属暴力団での地位別)

「受けた」と回答した者は,幹部の16.6%,組員の23.8%である。
 受講を希望した者に対しては,調査対象施設がそれぞれ独自に編成したカリキュラムに従って,職員,篤志面接委員,教誨師,警察職員その他の外部講師による講話,集団討議,ビデオ視聴,読書指導,面接指導等を行っている。
 VII-21表は,暴力団関係受刑者のうち,離脱指導を受講した者に対する「受けた内容の中で出所後に役立つと思ったものはどんなものですか」との質問について,重複選択で回答を求めた結果を,所属していた暴力団での地位別に示したものである。

VII-21表 役に立った離脱指導の内容(所属暴力団での地位別)

 幹部,組員いずれの場合においても,最も比率が高かったのは「施設職員の話」であり,幹部の場合は46.2%,組員の場合は55.1%に達している。そのほか,幹部では,「面接指導」(17.3%),「ビデオなどの視聴覚教材」(11.5%),組員では「面接指導」(38.8%),「警察職員・職業訓練所等外部講師の話」(24.5%)の順で高くなっている。
 VII-22表は,暴力団関係受刑者に対する「現在,出所後にこれまで所属していた組との関係について,どのように考えていますか」との質問について回答した結果を,離脱指導受講の有無別に見たものである。離脱指導を受けたと回答した者では,「組にもどるつもりはない」(57.4%)とする者が多く,反対に,離脱指導を受けていないと回答した者では,「組にもどるつもりである」(49.4%)が半数近くを占めている。

VII-22表 出所後の暴力団との関係(離脱指導受講の有無別)

 VII-23表は,暴力団関係受刑者に対し,「現在,出所後にこれまで所属していた組との関係について,どのように考えていますか」及び「組に加入してよかったと思いますか」の質問をし,それぞれ得られた回答結果の関係について見たものである。

VII-23表 出所後の暴力団との関係(暴力団加入に対する意識別)

「組にもどるつもりである」を選択した者は,暴力団に加入して「良かったと思う」とする者の82.0%,「良かったかどうかは分からない」とする者の48.6%,暴力団に加入して「良かったとは思わない」とする者の14.5%であり,一方,「組にもどるつもりはない」とする者は,「良かったとは思わない」とする者の68.2%,「良かったかどうかは分からない」とする者の25.7%,「良かったと思う」とする者の10.7%となっている。
 VII-24表は,暴力団関係受刑者に対する「組を離脱するために具体的な行動を取りましたか」との質問について,重複選択で回答を求めた結果を,「現在,出所後にこれまで所属していた組との関係について,どのように考えていますか」との質問に対する回答結果別に示したものである。

VII-24表 離脱のための具体的行動(出所後の暴力団との関係別)

「組にもどるつもりはない」とする者のうち,「離脱届を出した」と回答した者は61.7%であり,「組から破門・絶縁された」と回答した者は32.2%となっている。
 なお,「組にもどるつもりである」とする者のうちには,「離脱届を出した」及び「組から破門・絶縁された」とする者が,13.1%含まれている。
 VII-25表は,暴力団関係受刑者に対する「組を離脱するために必要な条件・方法は何だと思いますか」との質問について,重複選択で回答を求めた結果を,所属していた暴力団での地位別に示したものである。

VII-25表 離脱のための必要条件・方法(所属暴力団での地位別)

「暴力団(組)事務所との接触を断つこと」を選択した者が,幹部(62.1%),組員(67.8%)とも最も多く,以下,「よその土地で暮らすこと」(幹部53.0%,組員57.6%),「一般社会での就業や生活の基盤が確保されること」(同44.7%,同43.9%),「相談に乗ってくれる人がいること」(同37.9%,同42.4%)の順になっている。
 一方,「警察など公的機関によって一時的に避難できる場所を確保してもらうこと」及び「入れ墨除去や義指」と答えた者はいずれも約10%である。