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 平成12年版 犯罪白書 第6編/第6章/2/(2) 

(2) 企業倒産をめぐる経済犯罪に関する特別調査

 法務総合研究所では,競売妨害事案についての特別調査を実施した。
 この調査の結果,[1]犯罪行為に及んだ者は,全体に年齢層が高く,会社役員その他の企業の経営者的立場にある者の構成比が高いが,全体に,前科を有する者や暴力団・右翼団体との関係がある者が多いこと,[2]競売を申し立てた者としては,銀行が多く,競売を申し立てられた企業の業種としては建設業が多いが,競売を申し立てられた企業の資本金は,我が国の全企業と比較すると,相対的に高いこと,[3]約8割の事件において,暴力団・右翼団体関係者の関与が認められ,特に被告人自身が暴力団・右翼団体の関係者である場合には,更に組織を背景とした犯行を行う傾向が強いこと,[4]犯行の手口としては,全体に,担保物件に対する架空の賃借権等を主張する事案が多いが,暴力団・右翼団体の組織的背景が強い事案においては,担保物件の物理的占拠等の手口の比率が高くなっていること,[5]科刑状況を見ると,法律上執行猶予を付することができる者における実刑率は13.4%であり,暴力団・右翼団体との関係が,量刑上考慮されていることがうかがえることなどが明らかになった。