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 平成12年版 犯罪白書 第6編/第3章/第2節/3 

3 事案の概要

 次に,調査対象事件の事案の概要を見ることとする。
 なお,法人税法違反,商標法違反,著作権法違反及び廃棄物処理法違反については,判決言渡しを受けた人員1名につき1件,商法違反,証券取引法違反,独占禁止法違反,贈賄及び競売入札妨害については,判決において犯罪事実として認定された1個の行為につき1件として計上した。

(1) 法人税法違反

 法人税法違反について,VI-13表は,ほ脱税額を見たもの,VI-14表は,脱税の手段・方法を見たものである。

VI-13表 法人税法違反ほ脱税額

VI-14表 法人税法違反の手段・方法

 ほ脱額は,5,000万円以上7,500万円未満が最も多く,次いで7,500万円以上1億円未満となっているが,2億円以上の事案も,合計で15.3%を占めている。
 手段・方法では,売上除外及び架空外注費計上が多くなっている。

(2) 商法違反

 商法違反では,株主への利益供与が42件,特別背任が88件となっている。
 VI-15表は,株主への利益供与について,供与額を見たものである。供与額1,000万円以上5,000万円未満の事案が総数の3分の1を占めている。

VI-15表 株主への利益供与額

(3) 証券取引法違反

 証券取引法違反では,相場操縦が3件,インサイダー取引が4件,損失補てんが13件,風説の流布が1件となっている。

(4) 独占禁止法違反

 独占禁止法違反事件は,10年間で7件である。いずれも不当な取引制限の罪によるものであり,このうち5件が入札談合,他の2件が価格カルテルである。

(5) 贈賄

 VI-16表は,賄賂の供与先別に1件当たりの供与額を見たものである。

VI-16表 賄賂の供与先と供与額

 国会議員に対する供与は,供与額100万円以上500万円未満及び1,000万円以上が各1件であり,国会議員以外の国家公務員に対する供与では,10万円以上50万円未満が最も多くなっている。都道府県議会議員に対する供与は,すべて100万円以上500万円未満であり,都道府県知事に対する供与では,500万円以上1,000万円未満の1件以外は,すべて1,000万円以上となっている。その他の都道府県職員では5万円未満,市町村議会議員では10万円以上50万円未満が,それぞれ半数を超えている。市町村長に対する供与では100万円以上500万円未満が最も多く,次いで10万円以上50万円未満となっており,その他の市町村職員に対する供与では10万円以上50万円未満が最も多くなっている。その他の者に対する供与では,10万円以上50万円未満が最も多くなっている。

(6) 競売入札妨害

 競売入札妨害を,態様別に見ると,談合が77件,偽計によって競売又は入札の公正を害する行為が67件,威力によって競売又は入札の公正を害する行為が9件である。
 なお,偽計によるものは,いずれも,公共工事の入札に関して発注者側の公務員から入札予定価格等の教示を受けた事案である。

(7) 商標法違反,著作権法違反

 商標法違反は,いずれも,偽ブランド商品等を販売又は販売目的で所持するなどして商標権を侵害した事案であり,著作権法違反は,いずれも,映画ビデオ,アダルトビデオ等の著作物を販売又は頒布目的で所持するなどして著作権を侵害した事案である。

(8) 廃棄物処理法違反

 廃棄物処理法違反では,産業廃棄物の無許可処分業が106件中43件と最も多く,次いで産業廃棄物の無許可収集運搬業が20件,一般廃棄物の無許可処分業が10件となっている。