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 平成12年版 犯罪白書 第6編/第2章/第3節/2 

2 裁判所における処理状況

 VI-4表は,所得税法違反,相続税法違反,法人税法違反,消費税法違反,商法違反,独占禁止法違反,証券取引法違反,特許法違反,商標法違反,著作権法違反及び不正競争防止法違反について,平成10年の通常第一審における終局処理人員の区分を見たものである。独占禁止法違反については,東京高等裁判所が第一審としての管轄を有するが,同年においては,終局処理人員はない。

VI-4表 経済犯罪の通常第一審における終局処理人員

 また,平成6年から10年までの5年間において,第一審で所得税法違反,相続税法違反,法人税法違反,消費税法違反,商法違反,独占禁止法違反,証券取引法違反,商標法違反,著作権法違反及び不正競争防止法違反により懲役の言渡しを受けた者の科刑状況を見たものが,巻末資料VI-3である。
 所得税法違反及び法人税法違反については,実刑率(実刑に処された人員を総数で除した比率)は,一部の年を除き,10%未満にとどまっている。これに比して,相続税法違反及び消費税法違反については,実数は少ないものの,実刑率は高い。
 商法違反,商標法違反及び著作権法違反については,実刑率は増減を繰り返している。一方,独占禁止法違反,証券取引法違反及び不正競争防止法違反については,該当期間において,実刑に処せられた者はいない。
 なお,前記のとおり,独占禁止法においては,平成4年12月の一部改正により,また,証券取引法においては,同年6月の一部改正により,法人等に対する罰金刑の上限の額が,行為者に対する罰金刑の上限の額と切り離されて大幅に引き上げられた。これらの改正規定の施行後,10年末までの期間において,公正取引委員会から独占禁止法違反により告発された法人及び証券取引等監視委員会から証券取引法違反により告発された法人について,当該改正規定に基づく科刑状況を見ると,独占禁止法違反関係では,該当総数は34社であり,罰金額500万円が1社,600万円が22社,900万円が2社,4,000万円が4社,6,000万円が5社となっており,証券取引法違反関係では,該当総数が5社であり,罰金額1,000万円,1,500万円,4,000万円,8,000万円,1億円が1社ずつとなっている(公正取引委員会及び証券取引等監視委員会の資料による。)。