第5編 犯罪被害者とその国家的救済
第1章 犯罪被害の実態
第1節 犯罪被害についての実態調査
1 概説 どのような犯罪が,実際にはどのくらい発生しているかという,警察に届けられていない暗数を含めた犯罪実態を把握するための調査が,アメリカや連合王国等の主要先進国においては定期的に実施されている。 法務総合研究所では,犯罪動向(罪種別の犯罪被害の有無,警察への申告の有無,犯罪に対する不安等)をより正確に把握するとともに,犯罪被害実態に関する国際比較を行うため,国連犯罪司法研究所を中心として実施されている2000年国際犯罪被害実態調査(International Crime Victimisation Survey:ICVS)に参加する形で,平成12年2月4日から同月29日にかけて,質問紙に基づく面談での聞き取り方式による犯罪被害実態調査を実施した。 調査対象者は,全国の16歳以上の男女のうち,地域性や都市規模の点で偏りが生ずることのないよう,無作為に選ばれた3,000人である。調査対象者のうち,個人及び世帯を単位とした犯罪被害について回答が得られたのは2,211人で,その内訳は,男1,073人(48.5%),女1,138人(51.5%)で,回答率は73.7%であった。 なお,調査結果については,原則として,回答全体を100とした場合の比率で示している。
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