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 平成12年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節/4 

4 新収容者の特質

(1) 非行名と年齢

 平成11年の少年鑑別所新収容者の年齢を男女別に見ると,男子は17歳(23.7%)が最も多く,以下,18歳(21.1%),16歳(19.3%)の順となっており,女子は16歳(21.1%)が最も多く,以下,17歳(19.7%),15歳(17.6%)の順となっている。
 III-34図は,平成11年の新収容者について,男女別及び年齢層別に非行名別構成比を見たものである。

III-34図 少年鑑別所新収容者の男女別・年齢層別・非行名別構成比

 男子は,すべての年齢層で窃盗が最も多く,次いで,年少少年では傷害,恐喝,中間少年では道路交通法違反,恐喝,年長少年では傷害,道路交通法違反の順となっている。女子は,年少少年では虞犯,傷害に次いで窃盗と毒劇法違反がほぼ同数で並んでいる。中間少年では虞犯,覚せい剤取締法違反,窃盗,傷害の順となっており,年長少年では覚せい剤取締法違反が最も多く,次いで窃盗となっており,傷害及び虞犯は他の年齢層と比べて大幅に少なくなっている。

(2) 教育程度

 III-6表は,平成11年における少年鑑別所新収容者の非行時の教育程度を,刑法犯については非行種別に,特別法犯については非行名別に見たものである。

III-6表 少年鑑別所新収容者の非行種別・非行時の教育程度別構成比

 総数では,高等学校等中退者が最も多く,中学校卒業の者がこれに次いでいる。中学校卒業及び高等学校等進学以上等,学齢を超えたことが明らかな者1万6,951人のうち,高等学校等に入学した経験のある者は1万753人(63.4%)であるが,このうち61.0%の者が高等学校等を中退している。

(3) 凶悪事犯少年の特質

 III-35図は,平成2年から11年までの最近10年間における,殺人及び強盗による少年鑑別所新収容者数の推移を見たものである。

III-35図 少年鑑別所新収容者(凶悪事犯少年)数の推移

 殺人では,平成10年は前年から30人増加して71人となったが,11年は前年から14人減少して57人となっている。一方,強盗では,新収容者数が大きく増加しており,2年を100とする指数を見ると,11年は321となっている。
 なお,平成元年から10年までの10年間における家庭裁判所の一般保護事件終局総人員のうち,観護の措置を執られたものは,殺人では93.7%,強盗では66.6%となっている(司法統計年報による。)。
 III-36図は,平成2年から11年までの10年間における,凶悪事犯少年の年齢層別構成比の推移を見たものである。

III-36図 少年鑑別所新収容者(凶悪事犯少年)の年齢層別構成比

 殺人については,全期間を通じて年長少年の比率が最も高く,次いで中間少年となっている。強盗については,平成3年及び5年を除いて,中間少年の比率が最も高く,8年には5割を超えている。11年は,中間少年47.7%,年長少年38.3%,年少少年14.0%となっている。
 III-37図は,最近10年間の凶悪事犯少年について,非行時の共犯者数別構成比の推移を見たものである。

III-37図 少年鑑別所新収容者(凶悪事犯少年)の非行時の共犯者数別構成比

 殺人では,共犯者のいない単独の比率が高く,7割前後で推移している。強盗では,共犯者のいる者の比率が高く,なかでも,共犯者4人以上の者の比率が最も高く,平成8年以降は6割近くで推移している。一方,共犯者のいない単独の比率は,2年には20.9%であったが,その後減少し,11年は6.7%となっている。
 III-38図は,最近10年間の凶悪事犯少年の非行時の教育程度別構成比の推移を見たものである。

III-38図 少年鑑別所新収容者(凶悪事犯少年)の非行時の教育程度別構成比

 殺人では,高等学校等在学中の者の比率が上昇する傾向にある。強盗では,平成2年から7年までは中学校卒業の者の比率が最も高かったが,同比率は低下する傾向にあり,9年以降は,高等学校等中退者の比率が最も高くなっている。また,2年には13.4%であった高等学校等在学の者の比率は,11年は28.3%となっている。