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 平成12年版 犯罪白書 第3編/第1章/第4節/5 

5 いじめと非行

 文部省初等中等教育局の資料によれば,平成10年度(会計年度)に公立小学校・中学校・高等学校・特殊教育諸学校において発生したいじめの件数は3万6,396件である。これを態様別(重複計上による延べ数5万362件)に見ると,最も件数の多かったものは,ひやかし・からかいの1万4,362件(28.5%)で,次いで,言葉での脅し8,767件(17.4%),暴力7,798件(15.5%),仲間はずれ7,677件(15.2%)となっており,一口にいじめといってもその態様は様々で,必ずしもすべてが刑事司法手続の対象とされるわけではない。また,行為の性質上,実態を把握しにくいのが実状である。
 いじめに起因する事件の件数及び補導人員を見ると,いずれも昭和60年の638件,1,950人をピークに,長期的にはおおむね減少しているが,平成11年は,件数が前年と比べ39件(39.8%)増加して137件,補導人員が101人(37.7%)増加して369人となっている(警察庁生活安全局の資料による。)。いじめに関しては,いじめを受けた被害少年が,いじめに対する仕返しとして,殺人,傷害等を犯したり,自殺をするなどの事例も見られる。11年の事件総数137件のうち,6件がいじめの仕返しによる事件である。
 法務省では,平成6年に,子どもの人権問題を専門的に取り扱う「子どもの人権専門委員」制度を設け,12年6月1日現在,計688人の専門委員を全国の法務局・地方法務局に配置し,いじめに悩む人々に対する相談活動を行い,いじめ解消のための適切な処置を講じている。