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 平成12年版 犯罪白書 第2編/第6章/第3節/1 

第3節 犯罪者の国外逃亡と逃亡犯罪人の引渡し

1 犯罪者の国外逃亡

 日本国内で犯罪を犯して国外に逃亡した被疑者の数について,最近10年間の推移を見たものがII-26図である。国外逃亡被疑者数は,平成9年以降増加し,11年には460人(前年比20.7%増)となっている。これを国籍(地域を含む。)別に見ると,中国が163人(総数の35.4%)で最も多く,次いで,日本95人(同20.7%),韓国・朝鮮33人(同7.2%),ブラジル22人(同4.8%),タイ20人(同4.3%),イラン16人(同3.5%),香港14人(同3.0%)などとなっている。

II-26図 国外逃亡被疑者数の推移

 平成11年の国外逃亡被疑者を罪種別に見ると,刑法犯の被疑者362人(うち,日本国籍72人)の内訳は,凶悪犯(ここでは,殺人,強盗,放火及び強姦をいう。)が144人(同21人)で最も多く,以下,窃盗犯121人(同9人),知能犯(ここでは,詐欺,横領,偽造,贈収賄及び背任をいう。)67人(同36人),粗暴犯(ここでは,暴行,傷害,脅迫,恐喝及び凶器準備集合をいう。)8人(同3人)などとなっている。また,特別法犯の被疑者98人(同23人)の内訳は,薬物関係事犯(ここでは,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反,あへん法違反及び大麻取締法違反をいう。)が36人(同12人)で最も多く,次いで,入管法違反30人(同3人),銃刀法違反3人(同0人)などとなっている。
 平成11年の国外逃亡被疑者について,その推定逃亡先国(地域を含む。)を被疑者数の多い順に見ると,中国81人(うち,日本国籍4人),フィリピン30人(同21人),韓国・朝鮮21人(同3人),アメリカ14人(同13人),台湾11人(同3人),香港10人(同2人)などとなっている。
 平成11年の国外逃亡被疑者460人のうち,出国年月日が判明している被疑者は142人(うち,日本国籍41人)である。この142人の出国日が,それぞれの犯行日から何日目であったかについて見ると,犯行当日が3人(同1人),犯行翌日が15人(同3人),2日後が7人(同2人),3日後が7人(同1人),4日後が6人(同0人)などとなっている。犯行後10日以内に国外に逃亡した被疑者は合計で47人(33.1%),犯行後30日以内に国外に逃亡した被疑者は合計で63人(44.4%)である(警察庁刑事局の資料による。)。