I-17図は，最近10年間における公職選挙法違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。

I-17図　公職選挙法違反の検察庁新規受理人員の推移

　公職選挙法違反は，各年における選挙の有無・種類等によって受理人員に大きな変動があり，平成2,3,5及び7の各年の受理人員が多くなっているが，これは2年2月及び5年7月に衆議院議員総選挙が，3年4月及び7年4月に統一地方選挙がそれぞれ行われたことによるものである。しかし，10月に総選挙が行われた8年の受理人員は3,190人で，前回の総選挙が行われた5年の7,707人を下回っており，4月に統一地方選挙が行われた11年の受理人員も5,223人で，前年比では3,595人増加しているが，前回の統一地方選挙が行われた7年の1万15人を下回っている。
　警察庁の統計によって，平成11年の公職選挙法違反につき，違反態様別に送致人員の多いものから順に見ると，買収・利害誘導が圧倒的に多く，次いで，詐偽登録・詐偽投票等，文書図画に関する制限違反となっている。
　なお，平成6年12月に全面施行された公職選挙法の一部改正により，いわゆる連座制が強化されたが，改正後に，検察官が連座制に係る当選無効等の訴訟を提起したのは65件であり，そのうち，原告勝訴の判決が確定したものは62件(12年6月16日現在)である。さらに，検察官が提起した訴訟65件の内訳を見ると，7年4月に行われた統一地方選挙に関するものが20件，8年10月に行われた総選挙に関するものが10件，10年2月に行われた衆議院議員補欠選挙に関するものが1件，11年4月に行われた統一地方選挙に関するものが19件，その他の地方選挙に関するものが15件となっており，その内容を見ると，当選無効及び立候補禁止訴訟が11件，立候補禁止訴訟が54件である。また，連座制の対象となった者105人をその身分ごとに見ると，親族30人，秘書7人，組織的選挙運動管理者等69人(複数の身分を有している者がいるため，対象者総数と合致しない。)となっている(法務省刑事局の資料による。)。