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 昭和38年版 犯罪白書 第三編/第五章/三/1 

1 青少年問題協議会の活動

 地域浄化活動が組織的に推進されるようになったのは,決して古いことではない。青少年問題協議会の前身である青少年問題対策協議会が,閣議決定に基づいて設置されたのは昭和二四年であるが,当時とりあえず「青少年を犯罪化,不良化から守り,さらに進んで,青少年を幸福にするなめ応急的な,しかも積極的な具体策をとる」ことを,当面の目標として出発したのである。その後,昭和二八年に青少年問題協議会設置法が制定され,以後,活発な活動を続けているが,最近において,特に少年非行と関係の深い活動としては,昭和三五,六年度に実施した「青少年問題(対策)モデル地区計画」および三七年度以降実施している「青少年問題特別地区協議促進計画」をあげることができる。前者は,主として少年非行が多く発生する地区,あるいは非行少年の多く居住する地域を全国から五六か所選定して,その地域内における非行の原因,非行防止,ないしは非行少年の補導等の方策について,関係機関,団体,有志者等が協力して調査究明しようという計画で,かなりの効果をおさめた。
 現在実施中の「青少年問題特別地区協議促進計画」は,「モデル地区計画」の実施結果の上にたって,各地区の特性に合致した対策の樹立,その効果的な実施を期するために,関係機関,団体,民間有志者があいつどい,協議し,連携を密にして,それぞれ,立場や持ち分の異なる機関,団体,有志者の活動に一貫性をもたせることによって,より効果的に活動を展開し,その地域の少年の非行を減少,ないし好転させ,さらにその効果を全国に及ぼそうとするものである。ただ,この計画では,少年非行のみならず,その地区で緊要であり,かつ消化しうる健全育成等の課題もとりあげているが,その主眼とするところは非行防止である。中央青少年問題協議会がこの計画で指定した地区は,三七年度は九二地区,三八年度は一〇〇地区であるが,このほかに,都道府県青少年問題協議会が独自に指定している地区もかなり数えられ,その効果については期待するところが多い。