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 昭和38年版 犯罪白書 第三編/第四章/三/3 

3 刑務作業と職業訓練

 少年刑務所における刑務作業は,その収容者の特性と施設の性格上,受刑者の更生に役だつ職業能力の付与,ならびに作業を通じて人格のとうやと責任感,勤労精神のかん養等を特に重点とした運営がなされている。このため各施設とも,有用作業(木工,印刷,洋裁,金属,革工など)の拡充および職業訓練の強化と設備の充実に努めている。また,作業を直接監督指導する工場担当官や技官は,受刑者を定役に服せしめるという態度でなく,作業に精励することによって自己の技能をみがき,働くことの喜びを体得させるという心構えで,受刑者の指導にあたっている。
 昭和三七年一二月末現在,川越,松本,奈良,岩国および佐賀の各少年刑務所において,病気休養中,分類考査中などによる不就業者を除いた,業種別就業人員をみるとIII-61表のとおりである。

III-61表 少年刑務所における刑務作業人員(昭和37年末現在)

 刑務所内の職業訓練も,職業訓練法等にもとづき,一般社会と同一の教科内容と基準により,組織的に行なうことになっており,また修了者には公共職業訓練所修了者と同一の資格において,技能検定を受験することが認められている。したがって,少年刑務所においても,職業訓練生の選定は受刑者の心身の状況,能力,適性,職歴,将来の生活目標等について厳重な選考がなされる。このため,職業訓練適格者の数にはおのずから限度があるが,昭和三七年一二月末現在の上記五施設における職業訓練生の合計は三三九人で,これは収容者総数の約一二%にあたっている。なお実施中の訓練種目と種目別人員とはIII-62表のとおりである。職業訓練を修了した受刑者の再入率が,一般受刑者の再入率よりはるかに低いことについては,昭和三七年版犯罪白書(三一九-三二〇ページ)にのべた。

III-62表 少年刑務所の職業訓練種目と人員(昭和37年末現在)

 次に刑務所内で職業訓練を修了した者は,職業訓練法,理容師法,道路運送車両法その他の法令に基づいた公式の技能検定をはじめ各種の試験を受けることができ,その合格者は公認された職業上の資格,免許をもって出所できるわけである。III-63表は,昭和三七年中における上記五施設の資格,免許の試験および検定の受験人員と合格人員を種目別に示したものである。

III-63表 少年刑務所の資格・免許取得の試験・検定受験人員と合格人員(昭和37会計年度)